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350号 2016/7/24
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美耶子の言い分 美耶子のK9研究 むささびの鳴き声 どうでも英和辞書
7月も末だというのに、関東地方はまだ梅雨が明けていません。おかげでそれほど小さくないワンちゃんが2匹、泥だらけの庭と家の中を自由に出たり入ったりする我が家の床はもうメチャクチャであります。床が泥でザラザラの家なんて住めたもんじゃない・・・とため息をついていたら、いま一匹がまた大興奮という顔で庭へ飛び出して行きました。となりの人が我が家の前の道を通ったというだけのことなのですが・・・困ったもんです。

目次
1)MJスライド・ショー:オークの木
2)リベラル天皇の "long goodbye"
3)ニース・テロ:主戦論が事態を悪化する
4)ジョンソン外相はマントヒヒ?
5)「ブレア政権のイラク爆撃はクロ」
6)ばらばらの時代
7)どうでも英和辞書
8)むささびの鳴き声

1)MJスライド・ショー:オークの木


樹木にもいろいろあるけれど、日本人が一番親しんでいる木は何でしょうか?松、銀杏、杉、桜、もみじ・・・桜は「木」というより「花」で親しんでいるのでは?杉はあるかもな。春日八郎の『別れの一本杉』というのもあるし・・・だけど千昌夫の『北国の春』は白樺だよな。英国人の場合はというと、あの国にもいろいろあるけど、オークというのも候補であることは間違いない。日本でいうとナラノキです。昔話のロビン・フッドが隠れていたというオークは、ノッチンガムのシャーウッドの森(Sherwood Forest)にある。樹齢は推定で1000年、周囲は約10メートルだそうです。

というわけで、今回のスライドショーは "oak trees" がテーマです。ちなみに日本にも英国生まれのオークの木が植わっているコミュニティがあります。スライドショーは上の写真をクリックすると見ることができます。
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2)リベラル天皇の "long goodbye"
7月16日付のThe Economistが天皇の「生前退位」のことを話題にしています。主見出しが "The long goodbye"(長いお別れ)で、準見出しが "A remarkable figurehead wants to step down" となっています。"figurehead" は「象徴」という意味で、"remarkable" は「特別な」とか「特筆に値する」という意味ですね。あるいは別の英語でいう「ユニーク」ということもある。ケンブリッジの辞書には例文として "Nelson Mandela is a truly remarkable man" という文章が出ている。

で、今上天皇の何が "remarkable" なのか?太陽の女神であるAmaterasuの末裔であり、かつてその名を利用して全面戦争が行われてしまった「現人神」(man-god)の息子・・・なのに慎み深いクエーカー教徒(
ヴァイニング夫人)から教育を受け、趣味はというと、ごく地味な魚の科学の追求。ただ生まれつきの謙虚さ(innate modesty)とは裏腹にお住まいの皇居は人口密集都市である東京のど真ん中の115ヘクタール、この大都会は文字通り天皇を中心に回転しているというわけです。


天皇としての公務の遂行についても「ユニークなところが多い」(anomaly)とThe Economistは言います。例えば被災地などを訪問すると、必ず膝をついて被災者を慰めようとする。またアジア各地を訪問して、軍国主義・日本の過去に触れる微妙なスピーチもこなしている。日本そのものは右方向に動いているにもかかわらず、である、と。

国内では安倍晋三首相が日本の過去を美化しており、彼の閣僚たちも軍国主義を美化する靖国神社を参拝したりしている中で、天皇はその神社への訪問をはっきりと拒んでいる(pointedly refuses)。The Economistの記者がある右翼人にリベラルな天皇を持っていることをについてどのように思うのかを尋ねたことがある。その右翼の返事は「いずれはいなくなる」(one day, he would pass)というものであったのだそうです。


現在の天皇の父親の時代は、日本が軍国主義から経済大国へと変貌した時代でもあった。しかし現在の天皇の時代は、ゆっくりとはいえ経済的な力が衰えてきた時代でもあった。膝をついて災害の被害者の話に耳を傾ける天皇の姿を目にすると、そのような時代を受け容れる姿勢のようなものもうかがえるとThe Economistは言っている。

ただいわゆる「生前退位」(to step down)を実現するには法改正が必要であり、息子のPrince Naruhitoにとっては天皇という役割はかなりきついものになる可能性がある。The Economistによると、日本の皇室は事実上宮内庁に捕らわれの身となっているようなものなのだそうです。宮内庁というところは世界最古の世襲君主制を取り仕切っているだけに「殆ど理解不能な役所」(gnomic bureaucracy)なのだそうであります。例えば宮内庁は現在の皇太子の妻を「帝国出産機」(imperial birthing machine)扱いし、それが故に彼女は鬱に取りつかれたりもしている。という事情なので
  • (皇太子の)Naruhitoが、(日本の)君主制を一手に取り仕切る勢力の手綱を操るくらいならテムズ川上流で船を操っていたいと考えるかどうか、そのあたりはまだはっきりしていない。
    Whether Naruhito would rather navigate the upper Thames than the forces that swirl around the monarchy remains unclear.
とThe Economistの記事は結んでいます。締めくくりの文章にある「テムズ川上流で船を操って・・・」というのは、いまの皇太子が「18世紀イングランドにおける水路」を研究したことにひっかけての表現です。つまり「宮内庁などという得体のしれない役人たちと付き合うくらいなら、イングランドの運河について勉強した方がまし」と皇太子が考えているかどうか、はっきりしない・・・という意味です。

▼この記事とは直接関係ないけれど、天皇が「生前退位」の意向であることが最初に報道されたのは、NHKですよね。海外メディアも「日本の国営放送が伝えるところによると」という伝え方をしていた。むささび自身はその最初の報道を直接見たり聴いたりしたわけではないのですが、NHKだけが伝えたということは、NHKの「特ダネ」であったということなのですか?このニュースを伝えるNHKのサイトを見ると次のような書き出しになっている。
  • 天皇陛下が、天皇の位を生前に皇太子さまに譲る「生前退位」の意向を宮内庁の関係者に示されていることが分かりました。
▼「・・・が分かりました」という言い方が変な気がするのですよ。普通だと「関係者への取材で分かりました」とか「関係者がNHKに語ったところによると」とかいう言い方をするのでは?いきなり「分かりました」と言われても、どうやってそれが「分かった」のかを言われないから本当に信用していいのかどうか分からないですよね。しかも報道の直後に宮内庁の人間が「そうした事実は一切ない」などとコメントしている。だったらNHKの大誤報ということになる。なのにそのようなことは全く語られることがない。すべてが闇の中で進められている気持ち悪さだけが残る。

▼EU離脱をめぐるすったもんだでどうしようもないと思われた英国の政治とメディアの世界ですが、「生前退位」報道に比べると、あちらの方がはるかにあけっぴろげなのですよ。キャメロンもジョンソンも、誰もかれもがおたついている様子がみんな見える。その意味では健全だと思う。日本の場合は悲しいことだけど余りにも不健全です。

▼ただ一つだけ察することができると思うのは、日本の官僚てえものが案外出来が悪いのではないかというこ と。一方でNHKに情報を伝える人間がいるかと思うと、もう一方ではそれを否定する人間 がいる。単に横の連絡が悪くてオタオタしているってことなのかもね。となると、そんな人たちに国のことを任せていることがとても不安になる。けれど、どうしようもないのよね。

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3)ニース・テロ:主戦論が事態を悪化する


7月14日、フランスのニースで起こった「トラック・テロ」について、フランスのオランド大統領が「フランスはイスラム・テロと戦争状態にある」(France is “at war” with the threat of Islamist terrorism)というメッセージを発したことについて、7月15日付のGuardianのサイトに寄稿したコラムニストのサイモン・ジェンキンズは
  • そのような反応はショック状態にあるニース市民にとっては慰めにはなるかもしれないが、トラックに乗った狂人から大勢の群衆を守れる防衛策など地球上のどこにもないのだ。
    Such responses may comfort the citizens of Nice in their state of shock. But there is no defence force on Earth that can defend a crowd from a madman in a truck.
と言っています。

ジェンキンズは、このような事件が起こるたびにテロリストとの戦い(war on terror)を強化するという強気の発言が行われるけれど、今回のようなテロについては、最新鋭の戦闘機も、核ミサイルも、航空母艦も「豆鉄砲」ほどの役にも立たないと言っている。ニースのあのトラック・ドライバーは、フランスの「国家の安全」を脅かしたわけではない。無実の人々を見境なしに殺害する行為を国家の防衛と同じように語ることは防衛関係のロビイストたちの常とう手段であり、政治的な流行のようなものになっている。ジェンキンズは
  • あのようなテロ行為を軍隊で阻止できると考えることは、情報機関や警察の仕事を完全に無視するのと同じことだ。情報機関や警察こそが、あの種のテロの広がりを減らす可能性があるのに。
    The implication that leaders can somehow prevent such attacks by armed response is a total distraction from the intelligence and police work that might at least diminish their prevalence.
と主張、あの種のテロに対して軍隊を使うという発想は、国民一人一人への呼びかけを恰も国家レベルの防衛対策であるかのように考えてしまうことに繋がり、市民の個人的な生活まで国家の「安全保障」と同じように考えてしまうことにも繋がる、と言っている。ましてやオランド大統領の「イラクとシリアにおける戦闘を強化する」というメッセージは、若いテロリスト志願者の気持ちを自爆テロに向かって動かす効果を発揮するだけである、と。
  • フランスで起こったことは悲劇的であり人間として同情を禁じ得ない。が、我々にできるのはそれだけであり、それ以上のことをやろうとすると事態を余計に悪くするだけなのだ。
    What has happened in France is tragic and calls for human sympathy. Beyond that, there is nothing we can usefully do - other than make matters worse.
とジェンキンズは言っている。


▼フランス国籍を持っているイスラム教徒の女性がベールを被ることを許されない・・・たしかそんなことがありましたよね。そこまで「非宗教」にこだわるんですかね。昨年1月の「シャルリーエブド事件」も11月の同時多発テロ事件も結局は「フランス人」が起こした国内テロ事件なのだから、シリアやイラクのISISを空爆したって関係があるとは思えない。
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4)ジョンソン外相はマントヒヒ?

7月14日付のThe Economistの政治ブログ(Bagehot)が『メイの考え違い』(May delusion)というエッセイを載せています。イントロが
  • 英国の新首相(ティリサ・メイ)はボリス・ジョンソンを任命したことを後悔することになるだろう
    Britain's new prime minister will regret appointing Boris Johnson
となっている。新しく首相となったメイが組閣する中でBREXITのキャンペーンのリーダー格であったボリス・ジョンソンを外相に任命したわけですが、Bagehotによると、それは間違っているというわけです。何故?


ジョンソンは離脱派のリーダーとして活躍してきたのに、離脱派が勝利すると仲間から「アンタは首相の器じゃない」と言われて引っ込んでしまった。無責任なのか権力欲がないのか・・・Bagehotによると、ジョンソンはそもそもEU離脱が正しいなどと思ってはいなかった可能性がある(probably never thought Brexit a good idea)。メイ首相がこの人を外相に任命したのは、国民に対して自分の内閣が「離脱」を重視していることを見せつけるためだった。

EUからの離脱を決めた英国には、やらなければならないことが山積している。自国にとって最大の貿易相手(EU)との関係について一から書き直さなければならない。加盟国であった約40年間にわたって英国がEUとの間で交わしてきた実に様々な条約・法律・協定などをすべて破棄した上で交渉をしていかなければならない。さらに世界における英国の役割についても見直さなければならないし、EU以外の国々との付き合い方も考え直さなければならないかもしれない。とにかく英国ほど、他国との付き合いに依存している国はない。上昇するも墜落するも他国との付き合い次第という国なのだ、とBagehotは指摘する。


ロンドンの英国外務省

そして他国との付き合いを取り仕切る英国外務省(Foreign Office)というお役所については、世界中に数ある外務省の中でも飛び切り上等、外務省のロールスロイス(a Rolls Royce of a foreign ministry)のような存在なのだと言います。そのスタッフはヨーロッパでも最高に頭のいい人間が集まっているのであり、外務省というお役所は上手に使いこなせば、これからの数十年間で英国のいるべき位置に導いてくれる存在なのだとBagehotは主張する。

但し・・・そのような役所を使いこなすには、それなりの能力が必要なのである、と。そしてボリス・ジョンソンにはそれがない。アタマがいい(clever)し、庶民的(worldly)で個人的には好かれる(likable)タイプなのですが、とにかく失言が多い。特に他の国の人びとの気持ちを傷つけるような失言が多い。もっとまずいのは「手前勝手」(unscrupulous)で、「真面目さに欠け」(unserious)、しかも自己管理も下手くそ(poorly organised)・・・ということで、BREXITのキャンペーンでともに戦ったマイケル・ガブ(前法務大臣)によると、ジョンソンという人は、非常に物忘れが激しいくせに慎重さに欠ける。例えば自分がやることになっている演説原稿でさえ当日になってもできていなかったりすることが余りにも多かった。


そこまで言われると、なぜそんな人物を外相などに据えたのか?メイ首相は何を考えていたのか?と思わざるを得ない。そのあたりのことについてBagehotが言うのには、ジョンソンが大して強い性格ではないので「御しやすい」(manageable)と考えたのかもしれない。外国にでも送っておけば、これから自分のライバルとして首相の座を伺うこともないだろう、しかも彼を「主要閣僚」に据えておけば、首相は残留(Remain)派だったとしても政権はBrexitのような顔することができるではないか、と。つまり国民向けのPR人事である、と。

しかしBREXITは最早、単なる人気投票のタネではないし、保守党内部のもめごとでもない。まさに英国の将来がこれにかかっている。つまり将来の外国との交渉事において、英国民が選んだ政府の代表として、外国の代表(彼らもまた自国民に選ばれている)と渡り合う中で英国民の期待に応えなければならない。政府が自国民を納得させるような取引を勝ち取ることができるかどうかは正にそのような厳しい場面を乗り切るための能力にかかっているのだというわけです。外務省は正にそういう技能(skills)と経験を有している役所なのである、と。にも拘わらずメイ首相は外務省という組織を単なる「国内政治をうまく乗り切るための道具」として扱っている、とBagehotは批判するわけです。
  • ボリス・ジョンソンを外相に据えるということは、ロールスロイスのハンドルをマントヒヒに握らせるようなものである。ハンドル、クラッチ、アクセル等々があればマントヒヒはハッピーで大忙しかもしれない。が、事故った場合の代償は高くつく可能性があるのだ。
    It is like putting a baboon at the wheel of the Rolls Royce. Sure, the steering wheel, clutch and accelerator will keep the baboon happy and busy. But the price in collateral damage could be high.
というのがBagehotの結論であります。

▼ジョンソン外相が過去においてやってしまった失言・暴言の例をPoliticoという政治サイトが紹介しています。
  • オバマ大統領:(大統領が英国のEU離脱に批判的なことについて)一部ケニア人の血(part-Kenyan)が入っていて、先祖代々英国嫌い(ancestral dislike of Britain)なのだ。
  • ヒラリー・クリントン:ブロンドは染めたもの(dyed blonde hair)、鉄のように冷たくて青い眼で人を見つめる(steely blue stare)、精神病院のサディスティックな看護婦(sadistic nurse in a mental hospital)みたいだ。
  • ドナルド・トランプ:(トランプがロンドンにおけるイスラム・テロの危険性を語ったことについて)トランプのいうことは全くの出鱈目(utter nonsense)だ。自分がニューヨークへ行きたくないのは、まかり間違うとトランプと顔を合わせることになりかねないからだ。
  • 中国について:かつての大英帝国やアメリカに比べれば中国の文化的な影響力など無いのと同じ(virtually nil)であり、これからも増大する可能性は小さい(unlikely to increase)。
▼この人の失言はエディンバラ公(女王の旦那さん)のものと違って、雑誌や新聞の編集をやっていたころに書いてしまったものが圧倒的に多い。つまり証拠がはっきり残ってしまっているから「言った・言わない」の水掛け論に持ち込めないから苦しいよね。
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5)「ブレア政権のイラク爆撃はクロ」
 

前号の「むささびの鳴き声」の中でちらっと触れたのですが、2009年6月に当時のブラウン政権が設立したイラク戦争への英国のかかわりに関する調査委員会(The Iraq Inquiry)が、先日(7月6日)、英国がアメリカに同調してイラクを爆撃したのは間違っていたという趣旨の報告書を発表しました。2年間にわたるこの調査を指揮したサー・ジョン・チルコット委員長によると、
  • 英国は(イラクの)非武装化に向けて平和的にこれを進める余地があったのに、これを追求する前にイラク侵攻作戦に加わることを選択したものである。あの当時の状況からすると、軍事活動しか手立てはなかったという状況ではなかった。
    The UK chose to join the invasion of Iraq before all peaceful options for disarmament had been exhausted. Military action at that time was not a last resort.
とのことであります。要するに爆撃などという手段に出る前に他の平和的な手段を使ってイラクの非武装化をすることは可能だったのに・・・と言っている。ここをクリックすると、チルコット報告書のサマリーが出ていますが、この報告書がカバーしているのは、2001年から2009年までの英国政府の政策決定です。イラク爆撃が始まったのは2003年3月、大規模戦闘は5月初めに終わり、それから2007年くらいまでが占領・戦後復興の時期となっているのですが、イラクはその後もISISの侵攻などもあって、とても平和が回復されたような状態ではない。


7月6日付のBBCのサイトにチルコット委員会による報告書を手短にまとめた記事が出ています。その中の「軍事行動」(Military action)の部分だけを抽出するとざっと次のようになる。
  • 将来、イラクに対する軍事行動が必要なときも来たかもしれないが、少なくとも2003年3月の時点ではサダム・フセイン政権による脅威が迫っているということはなく、軍事行動を伴わない封じ込め作戦(strategy of containment)は充分に可能だった。しかも国連安全保障理事会でも、軍事行動ではなく国連査察官による検査とモニタリングが引き続き行われることを支持していた。
今回の報告書は、250万語という、とてつもない長さのものなのですが、委員会が最も問題視したものとして次の6つの言葉からなる文章がある。
  • I will be with you, whatever.
これは2002年7月末にブレア首相がブッシュ米大統領に送った手紙の中で使われた言葉です。"I" はブレアさん、"you" はブッシュさんのことです。文章の意味は「何があってもあなたと行動を共にしますよ」ということです。そして同じ手紙の中でブレアさんは、イラクに対して「アメリカ主導の同盟軍による軍事活動が必要である」という趣旨のメッセージも伝えているのだそうです。問題はこの手紙が2002年7月末に書かれていること。ブレアがイラク爆撃について国会の承認を得たのは2003年3月18日のことです。でもその8か月前にブッシュ大統領に対して英国がアメリカの軍事行動に参加しますと約束していたのと同じことになるわけです。


チルコット調査委員会に「クロ」扱いされてしまったブレアさんですが、翌朝、BBCラジオの時事番組"Today"に生出演、自分のやったことは正しかったと主張している。ブレア政権が、爆撃などという手段に出る前に他の平和的な手段を使ってイラクの非武装化をすることは可能だったのに、それをやらずにアメリカと同調してしまった・・・チルコット委員会の裁定の核となった部分です。それに対して、BBCの番組でブレア元首相は次のように主張している。
  • (イラク爆撃に関連して)自分が犯した過ちについて間違っていたと言ってしまうことだってできるし、他にもいろいろと間違っていたと認めてしまうことだってできるでしょう。しかし私は心から信じているのですよ。我々(政府)の行動は正しい動機に基づくものだったということ、自分自身、自分のとった行動は正しい信念によるものだったということです。もし、我々があのような行動をとらなかったら、世の中もっと悪くなっていたはずです。私は完全に誤っているかもしれないけれど・・・。
    I can regret the mistakes and I can regret many things about it - but I genuinely believe not just that we acted out of good motives and I did what I did out of good faith, but I sincerely believe that we would be in a worse position if we hadn't acted that way. I may be completely wrong about that.
つまりサダム・フセインをあのまま権力の座にとどまらせたならば、フセインによる大量破壊兵器の開発が再開されたであろうということ。そうなると2011年に起こった「アラブの春」の民主化運動がイラクにも波及し、フセインは大量破壊兵器を使って自国民を大量殺害する暴挙に出たに違いないということです。だからあの時点(2003年)でフセインを打倒したことは正しかった・・・と。
▼ブレアさんは最後のコメントで "I can regret the mistakes" と言っているのですが、白状すると、むささびは自分の翻訳が正しいかどうか自信がありません。これが"I regret the mistakes" というのなら「間違いを犯してしまい、申し訳ない」という意味になるけれど "can" という言葉が入るとどのような意味になるのか?むささびの解釈によると「間違ってました、と認めた方が簡単でいいかもしれない」というわけで上のような日本語になったわけです。本当はregretなんてしていないけれど、この場はそう言っておいた方が無難かも・・・という意味です。

▼最後のコメントのお終いの部分で、ブレアさんは「私は完全に誤っているかもしれない」(I may be completely wrong)と言っている。つまりサダム・フセインを打倒しなかったら、事態はもっと悪くなっていたはずだということについて「誤っているかもしれない」と言っている。どういう意味なのですかね。その前の部分で「世の中もっと悪くなっていたはず」と言い切っているのと矛盾しますよね。「断定はしたくないけれど」と自分の主張を言葉上だけでも和らげたということですかね。ブレアさんの発言には案外このような部分が多いのですよ。しゃべり言葉として言われると、どうってことなくやり過ごしてしまうけれど、書いたものを見ると「???」となってしまう。

▼問題の "I will be with you, whatever." と言う言葉ですが、ラジオのインタビューの中でブレアさんは「実際にはあの言葉のあとに "but..." と言っているんですよ」と言っている。つまりブッシュに対してただ単に「何があってもあなたと行動を共にしますよ」と言ったのではなく、そのあとに「しかし・・・」と続けて「国連の承認を得たうえで攻撃すべきだ」という趣旨のことを述べたのだと言っている。これは事実なようで、ブレアの助言のせいかどうかは分からないにしても、2002年の11月に、アメリカがイラクの武装解除を求める決議案を国連に提出、これが可決されてイラクも受け入れている。ただその後の武装解除の進展が遅いというわけで、結局は国連は英米を中心とする有志連合軍のイラク攻撃を止めることはできなかったのですが・・・。
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6)ばらばらの時代その1
 
 
7つの戦争が同時進行 アメリカは全く分かっていない! イラクの混沌

フランスの国際問題誌、Le Monde Diplomatique (LMD)の英文版のサイト(6月29日)に掲載されている "The age of disintegration"(解体の時代) というエッセイは、いま中東やアフリカで起こっている国がばらばらになってしまう現象について書かれています。書いたのは英国人ジャーナリストのパトリック・コバーン(Patrick Cockburn)で、The Independent紙の中東専門記者として知られています。この記事はいまの状況を非常に分かりやすく分析・解説していると思うのですが相当に長く、むささびの能力をもってしては「要約」が難しいので、今号と次号の2回に分けて掲載します。


7つの戦争が同時進行している

東はパキスタンから西はナイジェリアに至るまでの広大なるエリアには約20の国が存在するのですが、そのうち少なくとも7つの国(アフガニスタン、イラク、シリア、イエメン、リビア、ソマリア、南スーダン)で戦争が現在進行中なのですね。そしてコバーンによると、どの戦争をとっても「とてつもなく破壊的」(extraordinarily destructive)なのだそうです。つまり破壊された部分が元に戻ることは無理なのではないかと思われるほどにひどい。

シリアの古都、アレッポ。上は爆撃される前、下は爆撃後の姿。ウィキペディアによると、人口は2008年現在で約167万人、首都ダマスカスに次ぐ大都会。アラブ語では「新鮮な乳」の意味の「ハラブ」と呼ぶ。これだけ破壊されて、修復が出来るのか?

これらの戦争の共通点としてコバーンが挙げているのが、終わりが見えないこと、勝者と敗者がはっきりしないことです。そのような状態でひたすら戦闘と破壊だけが続いている。アフガニスタンなどは1979年以来戦闘が続いているのだから、間もなく40年になろうとしている。ソマリアの場合は1991年以来だから25年になる。そして戦闘のおかげで住めなくなった人びとが難民となって漂流している。シリアやイラクの難民のことは彼らがヨーロッパに向かっているということもあって欧米メディアでは度々報道され、世界的にも知られているけれど、南スーダンにおいて240万を超える人びとが自分の住んでいた場所を追われていることはそれほどは知られていない。


南スーダンの難民

これらの戦争の類似点としてもう一つコバーンが挙げているのが、イスラム教が支配的な宗教である国で起こっていることです。そしてどの国においても、反政府勢力がサラフィ・ジハーディ(Salafi-Jihadi)と呼ばれる極端なイスラム思想運動によって牛耳られているということがある。ISIS、アルカイダ、タリバンなどがそれにあたるわけですが、20世紀において有力な反体制思想であった社会主義とかナショナリズムが完全にイスラム過激思想にとって代わられてしまっているということです。

シリア:アメリカは全く分かっていない!

中東において進行中の7つの戦争はいずれも政府vs反政府という国内紛争であったものに、欧米を始めとする外国が軍事介入することで事態がますますひどいものになっている。そのことを欧米諸国は全く認識していない、とコバーンは批判します。例えば最近、シリアへの軍事介入について、アメリカ国務省の外交官たちがオバマ大統領に対して、アサド大統領の政府軍への攻撃を強化することを要求した(6月16日付NYタイムズ)のだそうですね。外交官たちは、アサド政権による自国民に対する残虐な抑圧行為こそが、シリアおよびその周辺を不安定に追い込んでいる根本原因(root cause)なのであり、アメリカとその同盟国はシリア政府軍を狙った空爆を強化することで、アサド政権を停戦合意に追い込むべきである・・・と主張しているのだそうです。

しかしコバーンは、そのような単純思考による発想では複雑この上ないシリア問題を解決することなどできっこないと言っている。シリアの内戦はアサド政権と反政府勢力による対立という形で始まり、今でもそれは続いているのですが、5年経った今では反アサド勢力は、かつての穏健な反政府勢力が影をひそめ、ほとんどがISISやアルカイダ系のテロ組織の支配するところとなっている。アメリカ外交官らの言うとおりに欧米軍がアサド政府軍への攻撃を強化すれば、利益を得るのはISISやアルカイダのようなテロ集団だけであるということです。コバーンによると、アメリカ外交官たちの思考はソ連だけを相手にしていた冷戦時代の思考であるということになる。


2003年の英米および同盟国によるイラク侵攻が誤りであったことは、今では広く認められているけれど、アメリカとその同盟国は、過去25年間、自分たちが中東で行ったさまざまな軍事介入が如何にこの地域における戦闘を悪化させ国家を解体させてきたかということについて、全く理解していない、とコバーンは主張します。

イラクの混沌

2003年の英米によるイラク爆撃から13年の今年(2016年)、英国において政府の独立調査委員会が、2003年当時の英国政府が行ったイラク爆撃の決定が誤りであったと断定しました。この件については別に触れるとして、コバーンが強調しているのは、このところ猛威を振るっているかのように思える「イスラム国」(ISIS)は欧米諸国による中東諸国への軍事介入が生んだものであるということです。ISISのような凶悪なるカルト集団が存在すること自体が中東全体の社会的混乱を示すものなのですが、ISISやアルカイダ、タリバンのような凶悪テロ集団がここまで力を得てしまっていることが示すのは、彼らのような集団に反対する勢力が余りにも弱かったということである、とコバーンは指摘している。

ISISのような凶悪テロ集団に立ち向かう中東諸国内部の勢力の脆弱さを示す例としてコバーンが挙げているのがイラクです。今から2年前の2014年6月の時点で、イラクには100万人を超える警備力が存在していた。にもかかわらずイラク第二の都市であるモスルがたった数千人のISISに占領され、その状態が今でも続いている。100万以上もの兵力がありながら、数千人のテロ集団に負けてしまったということです。

今年5月24日にイラクの町、ファルージャをISISの占領から解放したイラク政府軍。コバーンによると1000人にも満たないISISゲリラからこの町を解放するために数万人の政府軍とこれを支援するアメリカ軍らの空爆を必要としたのだそうです。

また最近、話題になったことですが、バグダッドの西40マイル(約70キロ)のところにあるファルージャという町がイラク軍によってISISから解放された。この町は2014年以来、ISISの占領地域に入っていたものをイラク軍が解放したわけですが、そのために投入された戦力はイラク陸軍以外にシーア派の民兵が約2万人、それに加えて欧米軍による空爆作戦があった。これに対して戦ったISISの戦闘員の数はたったの900人前後。1000人にも満たないゲリラを掃討するのに、なぜそのような大規模な軍事行動が必要だったのか?コバーンによると、それはイラク国民が現在のイラク政府をまるで支持していないということの表れであるとなる。つまりファルージャ市民はISISを支持したわけではないけれど、現在のイラク政権を支持しているか?というと必ずしもそうではない、とコバーンは言っている。

▼コバーンは「アメリカや英国は自分たちが中東で行った軍事介入が如何にこの地域における戦闘を悪化させ国家を解体させてきたかについて、全く理解していない」と批判しています。この記事は、5番目の「ブレア政権のイラク爆撃はクロ」という記事と一緒に読む必要があるかもしれません。ブレアはいまだに「サダム・フセインという独裁者を打倒したことで、世界は良くなった」と主張しているけれど、コバーンによればブレアとブッシュはイラクに無政府状態を作り出し、ISIS台頭の手助けをしただけということになる。

▼むささびが思い出すのは、1991年初頭の湾岸戦争ですね。フセイン政権のイラクがクエートに侵攻したのに対して国連が派遣した多国籍軍がイラクを空爆して始まった、あの戦争です。平和憲法の日本は、軍隊を派遣する代わりに130億ドルもの資金を提供した。なのに戦後クウェート政府が米国の新聞に掲載した感謝広告の中に日本の名前がなかった。そこで「金を出すだけでは世界は認めてくれない」というわけで、それ以後は国連のPKO活動に自衛隊が積極的に参加するようになった。憶えてます?「世界は認めてくれない」というときの「世界」とはアメリカのことだった。

▼それから10年後にニューヨークで9・11テロが起こり、それに対する報復としてブッシュのアメリカがイラクを攻撃、これをブレアが手助け、結果としてイラクに無政府状態を作り出した。日本?10数年前の仲間外れに懲りて、イラクの「戦後復興のために」という名目で自衛隊を派遣したのですよね。要するに英米のやることに反対はしなかった。その意味ではイラクの無性政府化⇒ISISの台頭に立派に手を貸したということになる。
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7) どうでも英和辞書
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plagiarism:盗作


他人が書いたものを断りもなしに自分が思いついたかのように使うことですよね。最近話題の "plagiarism" としては、アメリカ共和党の大統領候補、ドナルド・トランプのメラニア夫人が共和党大会の会場で行ったスピーチが、2008年の民主党大会でオバマ大統領候補のミッシェル夫人が行ったものとそっくりな部分がありすぎる(即ち盗作)とされている。

7月19日付のNew York Timesにそれ関連の記事が出ており、どの部分が盗作なのかが具体的に書かれています。そのうちの一つを紹介します。二人が自分自身の生い立ちを語った部分なのですが、オバマ夫人はシカゴの出身であり、必ずしも経済的に恵まれた家庭に育ったわけではないけれど、特に母親から受けた愛情が自分自身の子育てにも影響しているとして次のように語っている。
  • My mother’s love has always been a sustaining force for our family, and one of my greatest joys is seeing her integrity, her compassion and her intelligence reflected in my own daughters.
    母親の愛情が私たち家族を支える大きな力となっていました。私にとって最大の喜びの一つと言えるのは、母親の誠実さ、優しさ、そして賢さが私自身の娘たちに受け継がれているということなのです。
で、トランプ夫人は自分がスロベニアの出身であり、素晴らしい両親に育てられ感謝しているという趣旨のことを語っている。問題はその次です。
  • My father, Viktor, instilled in me a passion for business and travel. Their integrity, compassion and intelligence reflects to this day on me and for my love of family and America.
    父のビクトルは私の中にビジネスと旅行への情熱を植え付けてくれました。両親の誠実さ、優しさ、そして賢さが今日に至るまで、私自身に受け継がれていると思うし、私自身の家族やアメリカに対する愛情にも表れていると思います。
なるほどね。下線を引いた部分は「似ている」というより「そっくり同じ」ですね。トランプ夫人のスピーチは党大会の初日に行われたもので、その日の最大のイベントになるはずだった。なのに・・・というわけで、この原稿を作ったスピーチ・ライターをクビにしろという声があがっているのですね。(トランプにとって悪いことに)オバマ夫人のスピーチを書いたのは、かつてヒラリー・クリントンのスピーチライターであった人物なのだそうですね。二人のスピーチを比較するビデオはここをクリック文字原稿はここをクリックすると見る・読むことができます。
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8) むささびの鳴き声
▼共和党大会の「興奮」ぶりをニュースで見ながら、つい最近、英国で予想外の勝利をおさめたEU離脱派(BREXIT)の興奮ぶりのことを想いました。両方とも1年前までは勝つはずがないと思われていたのが番狂わせをやってしまった。それを実現したのが、世の中の「主流」とか「体制」と言われている人たちから「忘れられた人びと」(forgotten people)すなわち「白人貧困層」(poor white)の怒りだったと言われている。前号のむささびで北イングランドのサンダーランドという町を紹介しました。かつて栄えた産業が衰退して高い失業率を抱えているのですが、国民投票ではかなりの差でBREXITが勝った。

▼昨日(7月23日)、TBSテレビの『報道特集』を見ていたら共和党大会でトランプが勝利したことに関連して、オハイオ州にあるロレインという町が紹介されていた。この町は、昔ながらの産業がすたれてしまった町という意味で、正にアメリカ版のサンダーランドのような性格を持っている。その町の人たちにはトランプ支持者が多いという報道だった。

▼英国(主としてイングランド)の "poor whites" が怒っていたのが移民の増加だった。EUを離脱すれば、同じ加盟国からの移民は来なくなる、従ってよそ者に職場を奪われることもなくなる。「イングランドはオレたちのものだ、だろ?だろ?」というわけです。トランプの場合も同じような階層の人びとが「イスラム教徒も入国させない」、「メキシコ国境に壁を作って不法移民が入れないようにする」というアジ演説に惹きつけられている。似ている・・・。

▼ただトランプ現象とBREXITはどこかが違うように思えてならない。BREXITの場合、支持者にも2種類あった。一つはインテリ階級で、彼らの離脱論は、英国がEUの支配から解放され、「独り立ちして自由に世界を相手に生きていくのだ」という楽観主義に支えられていた。前号に掲載された記事の中で、保守派のピーター・オボーンという論客がBREXITの勝利は英国版の「アラブの春」なのだと言っていた。英国が民主主義の担い手としてヨーロッパのリーダーになる、「新しい門出」(new beginning)というわけです。

▼BREXIT支持者の中のもう一つのグループはサンダーランド市民に代表される「忘れられた人びと」で、彼らは移民が増えることもイヤだけれど、実はもっと気に入らないのは、偉そうな顔して「離脱したらアンタらの仕事がなくなるんだよ」と怖がらせをするキャメロンのような南イングランドの上流階級のやつらだった。彼らにとっては今回の国民投票は、気に入らないロンドン野郎たちに一発食らわせてやった、ざまあみろ・・・それで充分であるわけです。英国版の「アラブの春」なんて全く関係ない。

▼トランプの場合はどうか?「アメリカを再び偉大な国にしよう!」(MAKE AMERICA GREAT AGAIN!)というスローガンに熱狂するアメリカの「忘れられた人びと」は何に怒っているのか?黒人?イスラム教徒?メキシコからの不法移民?安保にただ乗りしている日本人?それもあるかもしれないけれど、本当に気に入らないのは、いまの世の中で結構な生活を送ることができているアメリカ人、例えばインターネットで大儲けしている企業の経営者と従業員のような人たちなのではないかというのがむささびの想像です。

▼BREXITを推進したインテリたちが思っていた「EUを離脱した英国こそが民主主義の担い手になる」という理念・理想にあたるものがトランプ・グループのリーダーたちのアタマの中にあるのか?『報道特集』に見る限りにおいてはそれが「法と秩序」なのかもしれない。アメリカ全体を城壁で囲み、その中で「法と秩序」を守りながら「安全」に暮らす。「理念・理想」と呼ぶにはあまりにもつましいし「内向き」ですよね。

▼むささびは、BREXITのインテリの言っていることに、相変わらず世界が英国を中心に動いていると考えている時代錯誤を見てしまうのですが、「世界を良くする」という外向きの感覚があることは認めます。トランプの場合は余りにも内向きですよね。このような人物に人気が集まるということ自体が、アメリカという国の落日を示しているとしか思えないのであります。

▼(トランプとは関係ありませんが)都知事選が進行中ですよね。埼玉県民であるむささびには関係ありませんが、最近送られてきた「衆議院議員河野太郎マンスリーニュースレター」にちょっと興味深い数字が載っていました。候補者のツイッターのフォロワー数の比較です。むささび自身はツイッターをやったことがないのですが、「フォロワー数」というのは、それぞれのツイッターを追いかけている人の数のことですよね。河野さんによると、都知事候補者の中でダントツは上杉隆さんで、フォロワー数は約32万だそうです。第2位は小池百合子で約20万、3位の鳥越俊太郎は約15万などとなっており、最下位は増田寛也の約2500人なのだそうです。

▼むささびは上杉隆というフリー・ジャーナリストの存在は知っていたけれど、都知事選に立候補しているとは知らなかった。そのはずですよね、上杉さんの名前はテレビなどでは全く出てこないのですから。テレビでは都知事選といえば、小池・鳥越・増田の3人だけが報道されるだけなのですから。実際の選挙で上杉さんがどの程度の票数を獲得するのか分からないけれど、ここをクリックすると彼のことが出ています。

▼くだくだと失礼しました。お元気で!
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むささびへの伝言