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 むささびの鳴き声 どうでも英和辞書
536号 2023/9/10

上の写真は日本語でいうと「フウキンチョウ」(英語では "tanager")という種類の鳥だそうです。スズメの種類に属するものなのですが、写真そのものは2023年度鳥類写真コンテスト(Bird photographer of the year 2023)で金賞を獲得した傑作です。撮影場所は南米エクアドルの熱帯雨林、撮影者であるスペイン人のニコラス・リューゼンス(Nicolas Reusens)によると、彼のカメラに写ったこの鳥は「緑色に輝いていた(glistening-green)のだとか。確かにきれいな鳥ですが、写真が見事としか言いようがない。

目次
1)スライドショー:夏を歩く
2)インドを知る
3)BRICSのこれから
4)再掲載:ロンドン・テロと多文化主義の終焉
5)英和辞書:predator
6)むささびの鳴き声
7)俳句

1)スライドショー: 夏を歩く

今回もBBCのサイトに出ていた "Summer Walks" という企画に出ていたものをお借りします。「世界中の視聴者からの応募作品」と言っているけれど、実際には8割以上がイングランドが舞台のようです。中には撮影場所の情報が全く出ていないというのも数多くありました。その場合はブランクで掲載することにしました。いずれにしても今年のイングランドは、暑い日はあったにしても日本ほどではなかったようです。

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2)インドを知る

9月9日~10日の2日間、インドの首都・ニューデリーでG20の首脳会議が開かれました。EU+19か国の首脳が集まる国際会議で、第1回の会議が開かれたのは1999年で、その年のアジアにおける経済危機に対処すべく組織され、以来毎年一回開かれている。インドが首脳会議のホスト役を務めるのはこれが最初なのですね。

アメリカの世論調査機関であるピュー・リサーチ(Pew Research)のサイト(8月29日)がインドという国に対する国際世論の見方を紹介しています。調査の対象となったのは、全世界の23カ国の人びとで、全部まとめるとインドに対して「好意的」な意見は全体の46%で、「批判的」な意見の34%を上回っている。

この調査では「好意的」が「批判的」を上回ってはいるものの、DK(分からない)という答えもかなりある。例えばハンガリー(36%)、インドネシア(26%)、アルゼンチン(43%)など9カ国がそれにあたる。最も「好意的」なのがイスラエルの71%ですが、これはインドとイスラエルが "I2U2" というパートナーシップ協定に参加していることが理由ではないかと調査会社は言っている。
  • I2U2は昨年(2022年)7月、インド、イスラエル、アラブ首長国連邦(UAE)、米国の間で交わされた協定で、ネット情報によると、各国が「水、エネルギー、輸送、宇宙、健康、および食料安全保障における共同投資と新しいイニシアチブ」で協力することを目指している。むささびはその存在すら知りませんでした。
インドはイスラエルにとって最大の武器輸出先なのですね。I2U2以外でもケニア、ナイジェリア、英国などは「6割以上」の人びとが「好意的」でインドにとっては「お友だち」です。


反対にインドに対して最も批判的なのは南アフリカで、調査参加者のほぼ半数が「批判的」(unfavorable)で、「大いに批判的:very unfavorable」が36%で、「好意的」(28%)を上回っている。ヨーロッパ諸国でインドに対してどちらかというと批判的とされるのはオランダとスペインなのだそうです。

23カ国のインド観

インドに好意的な政治勢力についていうと、ハンガリー、オーストラリア、イスラエルでは保守派が好意的なのに対してアメリカでは保守よりもリベラル勢力の方が好意的である、と。ヨーロッパへ行くと、ギリシャでは右派・左派ともに「ポピュリスト」と呼ばれる勢力がインドを支持しているけれど、同様のことがフランス、イタリア、スペインにおける政治勢力の動向について言える。どちらかというと「現状変革」を掲げるような政治勢力の受けがいいということのようです。
▼むささびのような年齢の日本人にとって、インドの首相といえば「ネール」(Jawaharlal Nehru)です。1947年から16年間、初代首相を務めた人です。1957(昭和32)年10月4日に国賓として来日し、10月13日まで滞在した。来日したとき、むささびは16才だったけれど、何も印象に残っていない。あの頃に「インド」といえば上野動物園のインド象「インディラ」しかない。昭和24年(1949年)インドのネール首相から日本の子供たちに贈られたものだった。

▼終戦後4年、むささび8才、小学校1年生だったのでは?NHKのラジオでさんざ放送されたので記憶に残っているのだと思います。名前の「インディラ」もよく憶えているのですが、これはネール首相が自分の娘の名前にちなんでつけたのだそうです。上の写真は1957年に国賓として来日したネール首相と娘のインディラさんが上野動物園のインディラを訪問したところです。


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3)BRICSのこれから

最近(8月23日)、南アフリカのヨハネスブルグで新興5か国(BRICS)の首脳が集まって全体会議が開かれました。BRICSというのは、Brazil, Russia, India, China and South Africaの5カ国の頭文字をとった呼び方ですよね。

今回の会議には国際刑事裁判所から逮捕状が出ているロシアのプーチン大統領はオンラインでの参加となったのですが、8月28日付のドイツの週刊誌・DER SPIEGELの英語版が
という見出しのインタビューを掲載しています。インタビューされているのは、国際問題を研究するマティアス・スペクター(Matias Spektor)というブラジルの学者です。全部を掲載するには少し長すぎるので、むささびの独断と偏見で「面白い」と思われる部分だけをピックアップさせてもらいます。ここをクリックすると全文を読むことができます。


マティアス・スペクター
BRICSのビジョン 欧州の影響力
国際秩序の非中央集権化 啓蒙主義の衰退?
それぞれの国内事情 傲慢さを避ける
  • DER SPIEGEL: 首脳会議に集まった5人のリーダーは、本当にこれまでよりも優れた世界秩序を樹立することを目指しているのですか?
Spektor: はっきりしていることは、彼らがこれまでとは異なる世界秩序を代表する人間たちであるということです。アメリカと西欧諸国に土台を置く秩序ではなくて、土台が他にもあるような秩序ということです。アメリカがリードする単極構造(unipolar)の世界秩序は、それに属さない国々にとっては「悲劇」でしかないということであり、その例がイラクへの侵略戦争(2003年)だった。世界秩序は多極構造(multipolarity)の方が優れている…とBRICSの国々では考えられているということです。
  • DER SPIEGEL: その考え方は正しいと思いますか?
Spektor: 歴史を見れば分かることですが、権力の中心が数多く存在しているような世界では紛争や戦争のリスクは増大する。秩序が多極的な場合は、強大な権力が複数、同時に存在していても秩序の安定は保たれる。現代の状況は「多極的な世界」というものではない。


  • DER SPIEGEL: BRICSの5人のリーダーは皆70才を超えています。プーチンはKGB(ソ連国家保安委員会)のエージェントであり、習近平は党の役員だった。インドのモディ首相は愛国主義的ヒンズー教徒で、最近ますます独裁的になっていると伝えられている。このようなリーダーたちは、人類の将来についてどのようなビジョンを持っているのでしょうか?
BRICSのビジョン

Spektor: 彼ら5人は権力を手に入れ、これを保持する方法を学んだのです。中には望ましい方法で権力を手に入れた者もいる。ブラジルのルーラ 大統領は刑務所に入れられていながら選挙には勝利した。彼が選ばれた選挙は極めてクリーンなものだった。それだけ語るなら5人のリーダーに問題はない。が、それぞれの国の内部における人権保護という観点からすると、事情が異なる。いわゆる「グローバル・サウス」の社会においては、西側諸国が習近平やプーチンを人権無視という理由で批判することについて快く思われていない。西側の人間は習近平やプーチンを批判はするけれど、インドのナレンドラ・モディ首相を批判することはしない。何故ならモディのインドはウクライナ戦争に関しては西側の同盟国と見なされているから。「グローバル・サウス」の人びとの中には、イタリアや英国のような国における移民に対する冷たい待遇について「ヨーロッパの人間に人権尊重をとやかく言う資格があるのか?」と疑問を呈する人も多い。
  • DER SPIEGEL: 移民の問題があるという理由で、イタリアや英国のような国をロシアや中国と同じように考えるのですか?
国際秩序の非中央集権化

Spektor
: 私が言いたいのは、5人のBRICSのリーダーは民主主義や人権を擁護するために共存しているのではないということです。彼らを結び付けているのは、国際秩序における非中央集権化を推進するという意図です。それを推進するためにお互いを保護しようということ。ブラジルのボルソナーロ大統領はブラジル国内に大混乱を引き起こそうとしてBRICSの仲間たちに支持された。同じことがプーチンにも言える。南アのラマポーザ大統領が汚職で非難を浴びればBRICSの仲間が助けるし、習近平やインドのモディは彼らの人権蹂躙政策が支持されるということ。
  • DER SPIEGEL: ロシアがウクライナを侵略した際に多くの「グローバル・サウス」の国がウクライナの側に立つことを拒否したけれど、貴方は彼らのその姿勢を支持したのですよね。
Spektor: いわゆる「グローバル・サウス」の国々は、盲目的に欧米に従うことを拒否したのです。彼らは現在の「西側」諸国がそのまま生き残るのかどうか分からないと思っている。が、かといって中国やロシアと手をつなぐこともしたくない。彼らが望んでいるのは最大限の柔軟性(flexibility)なのですよ。 
  • DER SPIEGEL: しかしそのような発想はうまくいくでしょうか?
それぞれの国内事情

Spektor
: それはそれぞれの国内状況によるでしょう。ブラジルの場合、ルーラ大統領は「アメリカか中国か」という選択は望んでいない。両方の国と付き合いたいのだから。問題は国内の政治状況によって進む方向が決まってしまうかもしれないということだ。ルーラの前、ボルソナーロが大統領であったころに中国から距離を置いてアメリカ(トランプ政権)に近づこうとしたことがあった。そのとき彼が政治的な支持基盤としていた議会の政党が「中国との貿易は大切だ」と言ってこれに反対した。政治はリーダーの意志だけでは決まらないということです。国内における政治状況も考慮する必要があるということです。あるいはインドのモディ首相の場合、国境を接する中国とは歴史始まって以来のトラブルを抱えている。彼は中国の意志を無視することはできないはずです。

  • DER SPIEGEL: ウクライナ戦争についてですが、欧米諸国はそれぞれにプーチンに反対するようなことをやっているけれど、南米、アフリカ、東南アジアなどの国々もプーチンのやっていることには反対するべきなのでは?
Spektor: それは絶対にそうすべきです。プーチン政権が国際法の基本を破ったことには疑いの余地がない。だからこそ南アやインドのような例外を除いては「グローバル・サウス」の殆どの国が(国連では)ロシアに反対する投票をしたのだから。ブラジルも反対票を投じたけれど、それは彼らがロシアの影響力が強くなりすぎるといずれはブラジルと国境を接する国にまで影響するかもしれないと思ったからなのか?違います。ブラジルではプーチンのやっていることが国連憲章に違反していると考えられているからです。 
  • DER SPIEGEL: 最近、世界におけるヨーロッパの影響力が低下しているという意見が多いのですが…。
欧州の影響力

Spektor
: そんなことは絶対にない。ヨーロッパはかつてのような「偉大な力:great power」ではないかもしれないが、影響力は信じられないほど大きい。最近ブラジル人を対象にした外国からの直接投資についての世論調査が行われ、「アメリカ・中国・ヨーロッパのうちブラジルへの直接投資国として最も望ましいのはどれか?」と聞いたところ「最も望ましい」とされたのが米国でも中国でもない、ヨーロッパからの直接投資だった。南米とヨーロッパの文化的な結びつきが深くて、南米にはヨーロッパの植民地のような国が多いということがあるかもしれない。が、「グローバル・サウス」の中では、特に南米には民主主義の伝統を守っている国が多いということなのですよ。南米には、人権が蹂躙されている国もあるが、東南アジア諸国などと比べると南米の方が進んでいる。ブラジルではボルソナーロのような極右ポピュリストでさえも公明な選挙によって政治から排除されている。南米における民主主義の浸透の多くが、過去40年間でヨーロッパの政治家の影響によっている。 
  • DER SPIEGEL: ヨーロッパにも極右ポピュリストはいますよ。
啓蒙主義の衰退?

Spektor
: そのとおりで、それは気になります。私としては、ヨーロッパの弱体化はそれほど気にならないけれど、かつてのような強いヨーロッパが極右の手に落ちるのは困る。しかしそれはヨーロッパ内部の問題でもあります。ドイツにおける政治的な議論で聞かれる極右思想などは10年前には考えられなかった。スペイン、英国、フランス etcも同じです。私が憂慮するのは、ヨーロッパそのものの衰退ではなくて、18 世紀のヨーロッパから引き継いできた合理的「啓蒙主義:Enlightment」の価値観の凋落(decline)傾向です。現在世界的に見られる極右ポピュリズムの台頭を食い止めることができるとすれば、それはヨーロッパしかないと思っています。 

  • DER SPIEGEL: 「グローバル・サウス」諸国でも力をつけている独裁主義者(autocrats)は、現在進行中の「多極的世界」(multipolar world)ではどうなっていくのですか?
傲慢さを避ける

Spektor
: 民主主義には、どこにおいても「決まった前提」(a set proposition)というものはありません。ヨーロッパにもアメリカにもグローバル・サウスにも…。アメリカで人種差別的な法律が廃止されてから一世代しか経っていないのですよ。私が生まれたのは独裁国家のアルゼンチンであり、育ったのは変わりつつあるブラジルだった。私は独裁的なボルソナル大統領時代のブラジルを生きたのです。私の世代のブラジル人は自由と「まともさ:decency」を求めて戦う必要があった。その点では両親や祖父母の世代と同じです。我々が傲慢になるとすれば、それは自分たちが悪いということなのです。 

▼Spektorが嘆いているのが世界的に見られる「極右ポピュリズムの台頭」なのですが、それを食い止めるのは(彼によると)「18 世紀のヨーロッパから引き継いできた合理的「啓蒙主義:Enlightment」の価値観」ということになる。"Enlightment" というのは、伝統的なキリスト教を守りながらも、どこかで「人間のアタマ」を尊重しようとする姿勢なのでは?と(むささびは)思うわけです。
 
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4)再掲載:ロンドン・テロと多文化主義の終焉

むささびジャーナルの第1号をお送りしたのが2003年の2月末。その2年後にロンドンの「同時爆破テロ」が起こりました。2005年7月7日、朝の通勤で混み合っていたロンドン地下鉄で、ほぼ同時に3か所で爆発が起きた。 そしてその1時間後、今度は地上を走る2階建てバスでの爆発。 原因はイスラム教過激派4人による自爆テロだった。 テロリストを含めて56人が死亡、750人以上が死亡したわけです。

テロから約1か月半後の8月21日にお送りした第65号の「むささび」の最初に掲載したのが『多文化主義の終焉?』という記事だった。朝日新聞に掲載された池内恵さんという人の記事に刺激されて書いたものなのですが、保守派のオピニオン・マガジンの代表とも言えるThe Spectatorの意見も載せているし、政府の人種政策で深刻な反省(?)を迫られたブレア首相(当時)のコメントなどを読むと、「むささび」の記事は単なる「昔懐かしい」ものではないことが分かる。

再掲載:多文化主義の終焉?

むささびジャーナル65号(2005年8月21日)
移民に同化は求めず 「穏健派イスラム」は幻想?
フランスは「同化」主義 多文化主義の行き過ぎ?

移民に同化は求めず…


先日(2005年8月1日)の朝日新聞に国際日本文化研究センターの池内恵という人が「差異への権利」のジレンマという論文を掲載していました。ロンドンにおけるテロリズムに関連して書かれたもので、英国における「多文化主義」(multi-culturalism)を紹介しています。

ロンドンのテロが英国内のパキスタン系移民によるものとされているわけですが、池内さんは英国の移民政策の特徴として、英国へ移住してきたethnic minority(少数民族グループ)に対して「ホスト社会の白人・キリスト教徒の文化や価値規範を受容し同化することを要求するのではなく、各民族・宗教の集団単位でそれぞれの固有の文化や価値規範を保持し再生産することを許容し、支援してきた」のだそうです。

別の言い方をすると「ここは英国だけど無理矢理キリスト教徒になることもないし、英国的な考え方をすることもありません。あなたたちの文化や習慣を守りたければ、それはそれで結構」ということになります。つまり異文化に対して、良く言えば「寛容」だけど、「勝手にしろや。どうせ我々とは同じになれないんだから」ということでもある。

フランスは「同化」主義

英国に対比されるのがフランスで、池内さんによると、フランスは「同化主義」。移民に対しては「普遍的な(とホスト社会が考える)一連の価値基準を受け入れなければならない」と要求するのだそうです。そういえば以前、フランスでイスラム教の子供たちが例のスカーフを着用して登校することを禁止して問題になったことがありますね。あれが「同化主義」ということです。

私の記憶によると「多文化主義」(multi-culturalism)という言葉は、現在のブレア政権が登場した1997年あたりから非常に強く言われるようになった。英国という国のこれからということを考えた時に、従来のような白人・キリスト教だけではなく、もっと幅広い人々が一緒に暮せる社会の構築を、というわけで、いろいろな意味での「寛容さ」ということをキャッチフレーズにしたのだと記憶しています。英国の進歩的な人々の間では大いに受けたものです。

「穏健派イスラム」は幻想?

で、英国における保守派のオピニオン・マガジンの代表とも言えるThe Spectatorのウェブサイトを見ていたらThe myth of moderate Islamというかなり長いエッセイが出ていました。書いたのはイスラム教・キリスト教研究協会(Institute for the Study of Islam and Christianity)のPatrick Sookhdeoというちょっと変わったファミリーネームの学者です。「穏健派イスラムという幻想」というタイトルのとおり「イスラムは暴力的な過去を有した宗教でありロンドンのテロリストはイスラムの教えに従った"自発的"なものなのだ」と主張しています。

この人はさらに英国へ移民してきたイスラム教徒たちがそれぞれのコミュニティを作って、普通の英国社会から孤立しているという現状について、英国政府がこれまで推進してきた「多文化主義」の責任だと言っています。multi-culturalism is deadということを認めて、イスラム教徒も含めて「新しい英国という国の共通のアイデンティティを再発見する作業が必要だ」(We need to rediscover and affirm a common British identity)と主張しています。


多文化主義に対する批判はイスラム系の学校にも向けられています。The Economistによると、現在英国には約100にのぼるイスラム系の学校があり、イスラムの子供たち50万人のうちの25,000人が通っていると伝えています。当然のことながらこれらの学校ではコーランを読み、イスラム教の歴史を学ぶ。公立学校の場合は全国カリキュラムに沿った科目が必要なので、オール・イスラムというわけにはいかない。

多文化主義の行き過ぎ?

さらに公立の宗教学校の場合、少なくとも全生徒数の10%はその宗教以外の子供たちを入学させる必要がある。しかし、基本的にはイスラム学校ではある。 ところで英国にはキリスト教の学校が7000あるのだそうです。キリスト教学校も、イスラム学校に劣らず社会的な溶け込み(social integration)に対する障害にはなり得るわけですが、英国の都会でイスラム人口が多いような場合、キリスト教徒ではなくても地元の教会学校へ通う子供は沢山いる。「無宗教公立学校の児童の多くがイスラム系の子供たちということもあり得る」というのがThe Economistの指摘です。 multi-culturalism の行き過ぎは議会でも問題になっていて、保守党などは「移民たちは主流となっている英国式の生活に溶け込むようにすべきだ」と言っています。


この件についてブレア首相は記者会見で「他の国の経験から学ぶ必要がある」(I just think we need to look at that and look at it in an honest way and learn from the experience of other countries as well)と言っています。この場合のother countriesにはおそらくフランスなども入っているのでしょう。 いずれにしても、かつて植民地支配をした国からの移民を受け入れるには欠かせない哲学ともいえたmulti-culturalismが深刻な反省を迫られているようですね。
▼あれから18年、英国は右へ寄ったり、左へ傾いたりしながらも、今やインド系の人物を首相に持つ国となっている。多文化主義が性に合う国であるということですかね。

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5)どうでも英和辞書
A-Zの総合索引はこちら

predator:捕食者・捕食動物

9月7日付のBBCのサイトが、日本のジャニーズ事件のことで
  • J-pop agency boss resigns over predator's abuse 日本のタレント事務所の社長が捕食者の悪行に絡んで辞任
という記事を掲載していました。むささびはそれまで ”predator” という言葉を聞いたことがなかったのですが、Cambridgeの辞書ではこの言葉に二つの説明がついています。一つには "an animal that hunts, kills, and eats other animals"(他の動物を殺して食する動物) というわけで、例としてライオン、狼などが挙げられている。

もう一つの説明は次のように書かれている。
  • someone who follows people in order to harm them or commit a crime against them 他人に付きまとって、傷を負わせたり、別の犯罪の犠牲にしようとする人物
"predator" には「略奪者」や「他者を食い物にする人」という意味があり、BBCの記事はジャニー喜多川をそのような人物として表現しているわけです。


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6)むささびの鳴き声
▼昨日(9月9日)の『報道特集』(TBSテレビ)がジャニーズの問題を取り上げていました。それを見ながら、むささびなりにこの問題を整理して考えようという気になりました(それほど簡単ことではないけれど)。問題が二つあるということ。一つはジャニー喜多川という性犯罪者と彼を取り巻く世界のこと、もう一つはその犯罪者の行状を自分の目や耳で見聞していたにもかかわらず、これを自分たちの世界以外の人びとに知らせることをしなかった人たち(メディア関係者)のこと。前者はジャニー喜多川個人の問題であり、気の毒だとは思うけれど、むささびには直接関係がない。が、メディア関連については自分と直接関係ないとは言いきれないということ。

▼それにしても、あのジャニーズの会見には驚きましたね。9月7日のあの会見のことです。あの日、むささびは外出していたのですが、午後2時に車の中でラジオを付けたらNHKが始まったばかりの会見を生放送していました。ずっと聴いている気はしなかったので、そのまま消してしまった。で、午後6時頃に今度は自宅でテレビをつけたら何とあの会見がまだ続いていました。4時間!

▼NHKのラジオが4時間もの間、あの記者会見を中継し続けたのか?むささびには分からないけれど、まさかそれはないよね。それほどの長時間を捧げるなんて、よほどの理由がない限りありっこないのでは?他にも視聴者・読者が知らなければならない話題があるのですからね。北朝鮮による核兵器開発とか。

▼ジャニーズ問題に関連して共同通信の「スポンサー企業は厳しい見方」という記事によると、ジャニーズ事務所のタレントが使われているコマーシャルをキャンセルしようという企業が増えているのですね。東京海上日動火災保険、日本航空、森永製菓 etc の名前が出ているけれど、むささびはここにも「宣伝」の臭いを嗅いでしまう。森永製菓の担当者などは「責任ある企業としてガバナンス強化を実現してもらう必要がある」と言っている。

▼コマーシャルのスポンサー企業に「責任ある企業」などと言われると眉唾物(queer)という気がしないでもない。「マユツバ」で思い出したけれど、先日ラジオを聴いていたら、コーマーシャルの言葉として「寝耳に水だ」というところを「それは寝耳にウォーターだ」というのがあった。これには笑えました。
▼ダラダラ、くだくだ失礼しました。日の暮れが早くなりました。6時になると殆ど真っ暗です。お元気で。

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