musasabi journal

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 むささびの鳴き声 どうでも英和辞書
513号 2022/10/23

日本では見ない(と思う)けれど、英国では都会にキツネが出没するという話をよく聞きます。上の写真もその一匹。折角手入れした自分の庭をキツネにやられた…日本だとイノシシ?そもそも英国には何頭くらいのキツネがいるのか?環境省の推定(2013年)によると、ざっと45万頭で、人間150人につき1頭だそうです。

目次
1)スライドショー:2022年、夏の想い出
2)リズが辞めた
3)トラスと「政治部長」

4)プーチンの寿命
5)どうでも英和辞書
6)むささびの鳴き声
7)俳句


1)スライドショー:2022年、夏の想い出
 

前号ではBBCのサイトにある読者からの投稿写真を紹介しました。今回もBBCのサイトから拝借するものです。英国にはWeather Watchersという人たちが全国に散らばっており、それぞれの地域の天気を観察してBBCに報告することをやっている。あくまでも趣味でやっているようです。で、最近のBBCのサイトに出ていたのが、このWeather Watchersたちが撮影したそれぞれの地方の景色なのですが、テーマは「夏」。2022年は英国でも夏がとてつもなく暑い日が続いた季節だった。これは彼らの「夏の想い出」です。

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2)リズが辞めた


英国のリズ・トラス首相が結局辞めましたね。1975年生まれだから47才ということになる。在任期間の45日は英国史上最短。10月20日、トラス首相は首相官邸前に集まった報道陣を前に以下のような辞任の発表を行いました。メディアというメディアが「次なる首相は誰なのか?」という話題で持ち切りである中で、むささびジャーナルはあえて辞めていく首相の言葉をしっかり伝えたいと思ってしまったわけであります。この辞任発表はここをクリックすると動画で見ることができます。


私は経済や国際情勢が大きな不安定状態の中にあるときに首相に就任しました。

一般家庭も企業も、自分たちに向けられた請求書の支払いをどうしようかと心配していました。

さらには、ウクライナにおけるプーチンの無法な戦争が、ヨーロッパ大陸全体および我が国の安全を脅かし、それが長期に及ぶ低い経済成長によってさらに停滞が続く要因となっていました。

このような状態に変化をもたらすことを期待されて、私は保守党党首に選出されました。

我々はエネルギー料金の問題そして国民保健の問題については約束を果たしました。

そしてEU離脱によって獲得した諸々の自由を活用することによって、「税金は低くても成長率は高い経済」の実現に向けたビジョンを創出しようとしていたところでありました。

しかしながら、現在のような状況では、自分が保守党党首に選出された目的を実現することはできないということを認めざるを得ませんでした。

そこで私は国王陛下とお話をして、自分が保守党党首の座を退くことをお伝えしました。

そして今朝ほど保守党の1922年委員会のサー・グレアム・ブレイディ委員長ともお目にかかりました。二人は党首選挙を来週中には終わらせることで合意いたしました。

それによって我々は自分たちの経済計画を実現し、我が国の経済的な安定と国家の安全を維持することが可能になるのであります。

私は後継者が選ばれるまでは首相を続けるつもりでおります。

どうも有難うございました。


"I came into office at a time of great economic and international instability.

"Families and businesses were worried about how to pay their bills.

"Putin's illegal war in Ukraine threatens the security of our whole continent and our country has been held back for too long by low economic growth.

"I was elected by the Conservative Party with a mandate to change this.

"We delivered on energy bills and on cutting National Insurance.

"And we set out a vision for a low tax high growth economy that would take advantage of the freedoms of Brexit.

"I recognise, though, given the situation I cannot deliver the mandate on which I was elected by the Conservative Party.

"I have therefore spoken to His Majesty The King to notify him that I am resigning as leader of the Conservative Party.

"This morning, I met the chairman of the 1922 committee, Sir Graham Brady.

"We've agreed there will be a leadership election to be completed within the next week.

"This will ensure that we remain on a path to deliver our fiscal plans and maintain our country's economic stability and national security.

"I will remain as prime minister until a successor has been chosen.

"Thank you."

首相のスピーチに出てくる1922年委員会(1922 Committee)は英国下院の保守党議員で、内閣や影の内閣にも所属しない議員(いわゆるバックベンチャー)から成る会派で、議会が開かれている間、毎週会合を行う。委員会の主な任務は、バックベンチャーの議員らが独立して党内のフロントベンチャー(内閣または影の内閣に所属する議員)に対する意見を議論したり、保守党党首を選出することにある。

▼そもそも何を基準に、記者会見を官邸の中でやるのか外でやるのかを決めるのか、むささびには分からないけれど、多分広く国民に語りかける雰囲気を出したいという場合に官邸の外でやるのではありませんかね。それにしても演台の準備やらマイクの設営やら、スタッフもタイヘンですね。官邸のドアに「10」があるから、ここは"Downing 10"で首相官邸の代名詞にもなっているけれど、"Downing 11" は財務大臣の官邸であるなんてこと、ご存じですよね!?

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3)トラスと「政治部長」たち

上の辞任発表のほぼ1週間前の10月14日、トラス首相は首相官邸で記者会見を行いました。この頃のトラスさんは、自政権の船出に当たって打ち上げた「大規模減税」などの政策に対して「市場」がポンド安や英国債の「売り」という、ネガティブな反応しか示さず、あろうことか自ら選んだ最重要閣僚ともいえるクワーテング財務相の解任に踏み切ったり…というわけで「軌道修正に追い込まれた」状態だった。 

会見は通常通りまず首相が冒頭発言をし、次に出席記者たちが質問をするという形をとった。以下は10月14日付のGuardianが掲載した首相と記者との一問一答なのですが、ここをクリックすると記者団とのやりとりの様子が動画で見ることができます。この部分は見ものです。質疑応答を文字化すると次のようになる。

  • 問1:なぜ辞めないんですか?
    Ben Riley-Smith(Daily Telegraph政治部長): 何故あなたは首相の座に坐り続けるべきだと考えるのか、国民に対して説明してくれませんか?あなたは党首選挙でも最も重要な争点だった減税案を反故にして、ご自身が指名した財務大臣をクビにしたのですよ。

 

Liz Truss: 私は自分が約束したことはやり通すという固い決意で臨んでいます。即ち高い経済成長によってより豊かな英国を実現するということであり、我々が直面する台風を突破して…

  • 問2:財務相だけクビにしてあなたは残るんですか?
    Harry Cole(the Sun政治部長) この予算案はあなたと前財務相が共同して作成したものです。二人だけの秘密会議ではお二人の息はぴったり合っていたと、我々は聞いています。でも彼は辞めなければならなかった。どうしてあなただけが残るんです?



Liz Truss: 私にとっての優先事項は、この国が必要としている経済的な安定をしっかり実現することにあるのです。だからこそ私は本日のように難しい決定をしたのですよ。私にとっての使命は同じです。英国の経済成長のレベルを上げるということで… 

  • 問3:国民に信頼されてると思っているんですか? 
    Chris Mason(BBC政治部長) 単刀直入にお伺いします。これまでに起こったことの全てを考えて、あなたにはこの国を治めていく信頼度がどの程度残っているのですか?

Liz Truss: 私が本日行ったのは、この国の経済を安定化させることです。ジェレミー・ハントは財務相として、高い成長率と低い税金に基づく経済を目指すという点で私と同じ希望を持っているのですよ。ただ、我々に分かっているのは、現在の市場の問題に対処しようとすると、使命を達成するために異なる方法をとらなければ…。 

  • 問4:あなた、保守党に謝るべきでは?
    Robert Peston(ITV News政治部長) 首相、フィリップ・ハモンド前財務大臣がつい今しがた次のように言っています。あなたは経済政策では選挙には強いと言われる保守党の評判をぶち壊してしまったのだ、と。あなたは保守党に謝罪する気はありますか?

 

Liz Truss: 私が決意しているのは、党首選挙において公約したことを実現することです。我々には高い経済成長が必要です。しかしながら我々は国として極めて困難な問題に直面しているのですよ。その点からすると、私が本日行った決定は国益を考えても正しい決定であったということです。 

 

▼それにしても質問する記者も答えるトラスもお互いに「不愉快この上ない」という雰囲気なのが可笑しいと思いません?特にトラスが質問者を指名するときのめんどくさそうな仕草には笑ってしまいました。会見を終えて出ていくときの様子も素晴らしい!

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4)プーチンの寿命

ドイツの週刊誌、DER SPIEGELのサイト(10月6日:英文版)に次のような見出しの記事が出ていました。
この記事は、DER SPIEGELの記者がガルリ・カスパロフ(Garry Kasparov)という人物と行ったインタビューです。カスパロフは1963年、アゼルバイジャンの首都、バクの生まれ。母親は音楽教師、父親はバイオリン奏者。5才のときにチェスを覚え、のちにプロのチェス・プレーヤーとなる。1985年、22才でチェスの世界選手権保持者となり2000年までその地位を保った。

2005年、チェスから身を引き政治の世界へ。2013年にロシアを離れて以来、反プーチンの活動を続ける。2014年にクロアチアの国籍獲得、現在はニューヨークとスプリト(クロアチアの町)で家族と共に暮らしている。1963年生まれということは、現在59才ということ。若いですね!


プーチンとの戦い クリミアのために死ぬか?
寿命は来春まで 代償は払え
プーチンはポーカー
  • DER SPIEGEL: 貴方が胸につけているバッジは「白・青・白」であってロシア国旗の「白・青・赤」ではありませんね。それは自分で考え付いた「理想のロシア」の旗なのですか?

Kasparov: これは私のように外国に亡命したロシア人たちの間で「理想」とされている旗なのです。現在のウクライナの状況を見ると、我々ロシア人は血の色(赤)を国旗に使う気にはなれません。が、このパターンは中世の昔から自由ノブゴロド共和国(free Republic of Novgorod)を示すものとして使われてきているものです。そういう意味では歴史的には意味があるパターンなのです。

  • DER SPIEGEL: もう少し説明してくれませんか?

プーチンとの戦い


Kasparov: 現在我々が見ているロシアは二つの概念の対決状態にあるロシアなのです。一つは欧州寄りのロシア、もう一つは盲目的主戦論の国としてのロシアです。後者は封建主義的なモンゴル国家ということもできる。帝国主義的ロシアと言ってもいい。今現在起こっているのは「欧州寄りロシア」による「モンゴル的ロシア」への復讐ともいえる。

  • DER SPIEGEL: このウクライナ戦争は明らかにあなた個人による対プーチンの戦いでもあるようです。何が貴方を動かしているのですか?

Kasparov: 私はプーチンとの戦いを20年も続けており、常に「プーチン政権はファシスト政権になる」と主張してきた。ロシアのみならず隣国や世界にとってプーチンのロシアはファシスト国家になるということです。もっと多くの人びとが私の言うことに耳を傾けてくれればよかったのに…と思います。

  • DER SPIEGEL: 多くのロシア人が勇気をもってプーチンと戦っているけれど、その半面、貴方の考え方にはラディカル過ぎてついていけないと感じてもいる。一つには貴方の考え方がロシアの外で培われたものだということがある。例えば貴方は「正しい歴史の方向に進みたい人間は自分の国を去るべきだ」などと言っている。


Kasparov: これは戦争なのですよ。誰もがどちらかの側につかなければならないのです。自分も含めてすべてのロシア人がこの(ウクライナ)戦争に集団的責任があるのです。但しそれは「個人的責任」とは違います。こんにちのロシアはファシストによる独裁国家であり人類に対する戦争犯罪を犯している国でもある。そのロシアに現在も留まっている人間は、好むと好まざるとにかかわらず、誰もがこの戦争マシーンの一部になっているのです。

  • DER SPIEGEL: この戦争はいつまで続くのでしょうか?プーチンはつい最近、新たな兵役招集をかけているようですが。

寿命は来春まで


Kasparov: プーチンの軍事的・経済的な能力は来春までに枯渇するでしょう。4月までには武器が枯渇し、経済はロシア人の最低限の生活も支えることが出来なくなる。だからプーチンは急いでいるのです。交渉のための適切な時期を懸命に探っているのです。

  • DER SPIEGEL: この戦争におけるプーチンに勝利はないかもしれないが、破壊行為だけは行える。孤立もしていない。

Kasparov: 独裁者は敗者を嫌うとは昔から言ったものだ。プーチンはいま正に敗れようとしている。自分以外に誰がプーチンの味方なのか?イランには彼ら自身の問題があるし、中国がプーチンのために何もしていない。カザフスタンも彼には背を向けている。日に日に支援の輪が小さくなっている。セルビアでさえも「国民投票」を認めようとしない。プーチンは孤立しているのだ。

  • DER SPIEGEL: チェス・プレーヤーであるあなたの眼から見てプーチンは合理的な行動をする人間(rational actor)だと思いますか?

プーチンはポーカー


Kasparov: ウクライナ攻撃は大きな誤りだった。ただ、彼のアメリカ人、フランス人、ドイツ人らとの過去の体験からすると、自分の行為も結局は許されてしまう(get away with it)と考えたということだろう。独裁者のプーチンはチェスはやらない。やるとすればポーカーだろうし、政治の世界のポーカーは上手だったかもしれない。彼はしばしば持ち札がお粗末なのに勝利したものだ。彼の敵が脅しに騙されていたから。今や彼は、この戦争に負けることで自分が政治的・肉体的に存在できなくなることを本能的に知っている。だからありとあらゆるリソース(資源)をかき集めようとする。問題は、どの時点で彼の取り巻き連中が自分たちの出口を見つけ出そうともがき始めるのかということだ。

  • DER SPIEGEL: ロシアにとって敗戦は何を意味するのでしょうか?

Kasparov: ロシアの歴史を見ても分かるけれど、敗戦であれ政治的敗北であれ、国内には大きく劇的な変化が起こる。1855年のクリミア戦争、1905年の日露戦争、第一世界大戦における行き詰まり、そして冷戦の終結…どれも国内に劇的な変化をもたらした。が、このウクライナ戦争における敗北は最悪中の最悪と言える。何故なら敗北が目に見えてはっきりしているからだ。1945年(第二次大戦終結時)のドイツのようなものだ。

  • DER SPIEGEL: それにしても何故ロシア人はクリミアのために戦おうとしないのですか?

クリミアのために死ねるか?


Kasparov: モスクワやサンクトペテルブルグの人びとは「足で投票」(voting with their feet)しています。逃げ出しているということ。一つだけ言えるのは、テレビでクリミアのことを眼にすると誰もが「素晴らしいところだ」と言うかもしれないけれど、「そのために死ぬか?}(to die for it?)と言われれば「勘弁して」(No, thank you)ということになる。

  • DER SPIEGEL: あなたのおっしゃるようにロシアが敗戦を迎えたとして、その後はどうなるのですか?

Kasparov: ロシアにとってはひどい時代になるだろう。ウクライナとの和解には何十年ではないにしても、何年かはかかる。またロシア人たちは民主主義を直ちに受け入れることもできないだろう。しかし彼らにはヨーロッパへ帰属しようと努力することで、もう一度やり直し(start all over again)する以外に道がないのだ。

  • DER SPIEGEL: あなたはロシアを離れて長いですよね。それでも自分が「普通のロシア人(normal Russians)」の感覚を持っており、彼らが何を望んでいるかを分かるとお考えですか?

代償は払え

Kasparov: 彼らの感覚を本当に分かっているなどと主張する気はないけれど、データを見てもいろいろなことが分かる。大多数のロシア人は、この戦争のことは気にしていない。10%ほどの人間が道義的な見地から反対、30%は戦争に賛成、そして60%が「どうでもいい」(60 percent simply didn't care)と思っているということだ。


家族と別れるロシアの予備兵
  • DER SPIEGEL: ロシア人によるプーチン支持は、西側の人間が考える以上に強くて高いですよね。

Kasparov: そう、勝っている限りはね!As long as he wins! 大多数のロシア人はウクライナ人が降伏すればハッピーであることを否定する気持ちはない。もちろん私も、自分の同胞がブチャの虐殺のような犯罪を眼にしながら「あんなことウソに決まっている」などと言うことは道義的に許せない気がする。が、プーチンが負けに近づいている今、そのようなことを口にするロシア人たちは、戦争に対してそれなりの代償を払わなければならないということだ。


▼昨日(10月22日)のYahooに「AFP時事」で、ベラルーシのルカシェンコ大統領が「われわれに戦争は必要ない」と発言したというニュースが出ていました。ロシアのウクライナ侵攻に参戦しない意向を示した発言らしい。ベラルーシはこれまでプーチンの味方としてウクライナ侵略を支持するかのような発言を繰り返していませんでした?
 

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5)どうでも英和辞書
A-Zの総合索引はこちら

stiff upper lip: 感情表現を自制した状態

"stiff" は「硬い・硬直した」と言う意味で、"upper lip" は上唇のこと。Cambridgeの辞書は "stiff upper lip" の持ち主のことを次のように説明している。
  • Someone who has a stiff upper lip does not show their feelings when they are upset: "stiff upper lip" の持ち主は気持ちが高ぶっているときでも、自分の感情を表に出さない人間…。
例文としては
  • He was taught to keep a stiff upper lip, whatever happens. あの男は、何が起こっても"stiff upper lip"を崩さないように教育されているのです。
というのが出ているけれど、英国では「強い人間(特に男性)」の美徳とされてきた。エリザベス女王が亡くなった際に30万人もの英国人がロンドンの街頭を埋め尽くして悲しみを共にしたけれど、誰もが "stiff upper lip" のように見えた。

英国紳士は泣かなかった(English gentlemen didn’t cry)というけれど、Thomas Dixonというその道の専門家によると、この言葉が当てはまったのはビクトリア朝(1837~1901)とエドワード朝(1901~1910)時代だけのことなのに、後の学校教育であたかもそれが英国人全体の美徳のように教えられてしまったのだそうです。

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6)むささびの鳴き声
 
▼本日(10月23日・日本時間)のBBCのサイトには「次期首相の候補争いではリシ・スナクが一歩リードしている」と出ています。この号の3番目に掲載した<トラスと「政治部長」たち>という記事ですが、首相の記者会見なるものに興味がおありの方にとっては一見の価値ありだと思います。特に日本の首相官邸における会見との違いは面白い。ぜひクリックして見てください。

▼そもそも何人くらいの記者が出席していたのか定かではありませんが、動画に見る限りでは少なくとも20人はいたと思います。結局、4人の記者をトラスが自分で指名して会見を自分で終えてしまったわけですが、指名されたのは、新聞はDaily Telegraphとthe Sunで、両方とも保守党の機関紙みたいな存在です。Guardianやthe Independentのような「リベラル」な新聞の存在は全く無視という感じです。テレビではBBCとITVが指名された。

▼記者はいずれもPolitical Editorという肩書です。むささびはこれは「政治部長」と訳したのですが、各社編集局の政治担当部門のトップであることは間違いない(と思う)。ただ日本と違うと思うのは、日本のメディアの場合、「政治部長」さんが記者会見に出席したり、ましてやそこで質問したりということはないのでは?日本の場合、部長さんはみんな管理職というやつで、記者会見のような「現場」には行かないのでは?

▼トラスが質問者を指名する際にはその記者の名前を言うのですね。"Ben Riley-Smith"とか"Chris Mason"のように、です。「林さん」「小林さん」という感じです。日本の首相の記者会見は、首相官邸のサイトに出ています。最近ではいろいろとやり方が変わったようですが、数年前の安倍首相の会見のサイトを見ると、会見には「内閣広報官」という司会者がついていて、質問者の指名などもその人が行っていたようです。

▼とにかく…リズさんは辞めてしまいましたね。在任期間の44日という短さが大いに話題になっています。書評誌 London Review of Books のブログがそのことに触れて、44日という寿命の短さについて「メスの蚊(female mosquito)の平均寿命より短い」 と書いているのを見てちょっと笑ってしまいました。メスの蚊の平均寿命は56日なのだそうです。失礼しました!

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