musasabi journal

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 むささびの鳴き声 どうでも英和辞書
503号 2022/6/5

メディアのニュースを聴いていても、ウクライナ戦争はなかなか終わらず、そうこうするうちに「ロシアが有利」というようなニュースが流れてきて…。ウクライナ人が気の毒であることは言うまでもありませんが、世界中どこへ行っても白い眼で見られるという意味では、ロシア人にも同情心を抱かざるを得ませんね。今号の3つ目の記事がそれにあたります。上の写真は英国・ケンブリッジの町の片隅です。

目次
1)スライドショー:カフカと線画
2)「人間はなぜ殺すのか…を考えよう」!?
3)プーチンの保守主義
4)「長期主義」と人類の未来
5)どうでも英和辞書
6)むささびの鳴き声
7)俳句


1)スライドショー:カフカと線画



『変身』、『城』、『審判』などの作品で知られる文学者のフランツ・カフカについては、何やら憂鬱な雰囲気の作品で知られていますよね。1883年にプラハで生まれ、1924年にウィーン郊外で死んでいる。41年という短い人生だったのですが、抽象的な線画を描くのが好きだったのですね。彼自身は出版する気などなかったのですが、彼が生前描きためた線画を集めた "Franz Kafka : The Drawings" というタイトルの本がエール大学から出版されています。Guardianによると、「憂鬱な文学者の明るい側面」を見ることができるのだそうです。線画にはタイトルらしきものがついていないのですが、むささびには「どこか悲しい作品群」に見えて仕方なかった。これらの線画についてカフカ本人は「ボクが死んだら全て燃やしてくれ」と言い残したのだそうです。実際の本を手に入れたいけれど、一冊8000円もするのではちょっと無理。ごく一部だけ使ってスライドショーにしてみました。

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2)「人間はなぜ殺すのか…を考えよう」!?


米テキサス州の小学校で銃の乱射事件があり、児童19人と2人の教師が亡くなった、あの事件について5月28日付のワシントン・ポストのオピニオン欄が次のような見出しのエッセイを載せています。書いたのはゲリー・アバナシー(Gary Abernathy)という同紙のコラムニストです。
  • Let’s focus more on why people kill than what they use to do it 人間は何を使って殺すのかということより、「何故殺すのか」ということに注目しよう


ゲリー・アバナシー

あの事件以来、メディアは「いつになったらガン業界に向かって立ち上がるのか?」(バイデン大統領)、「この国はガン業界によって危機感覚がマヒしている」(オバマ元大統領)、「この国では銃の乱射事件が当たり前になってしまっていることを思うと胸が痛む」(ウォレン上院議員)のような声で溢れかえっている。このような発言をするのはもちろん政治家だけではない。プロのフットボーラー、芸能人、TVキャスター等など、一般的に親しまれているような人物や組織までもが似たような姿勢を明示している。

ただこれらの報道に特徴的なのは、銃乱射をやってしまった人間(サルバドール・ラモスという18才になる住民)のことが一切触れられていないことだ、とアバナシーは指摘します。メディアが犯人の名前に触れないのは、いわゆる「伝染効果」(contagion effect)を防止しようとする警察の警告があるからなのですが、結果として普通の人びとは、殺人犯人ではなくて、殺人の手段に大騒ぎをすることになる。


犯人のことより銃規制の話を持ち出しがちな政治家の発言には、彼らなりの「計算」が働いているのかもしれない。が、犯人のことを話題にし始めると、人間自体の話になってしまい「どうにもならない」という「口には出さない諦めの気持ち」(unspoken sense of helplessness)に支配されてしまう…それを避けたいという気持ちに支配されてしまうということもある。

バイデン大統領は、なぜアメリカではこれほどの数の大量殺人が起こるのか?と疑問を口にする。他の国にだって道を踏み外した人間や精神的におかしくなった人間はいるはずではなか、と。ただ、ある研究機関の調査によると、銃による暴力による死者の数でいうと、アメリカは世界でも32番目なのだそうです。つまりそれほど異常に多いわけではない、と。

大量殺人の犯人が彼らなりの周囲の敵意や反発を犯行の理由として語ることがあるけれど、大体が「その程度のことなら誰だって感じている」という理由が多い。何故彼らだけがそのような行動に出たのか?理屈はいろいろ言われる。アメリカ特有の「男っぽい銃文化」(macho gun culture)、暴力を賛美するかのような娯楽業界、精神病に対する無視・無理解、経済的な格差、宗教心の欠如が生む精神的空白 etc。

これらはいずれも難しい問題ではあるけれど、そのようなことを持ち出すと「銃が悪いのだ」と主張するグループの嘲笑にさらされる。要するこの問題については、誰もが賛成できるような理屈は持ち合わせてはいないということである、と。新たなる銃規制法を作ることは、アメリカ人の暴力性の問題などを考えるよりは楽なのかもしれない。

アメリカ人を悩ませているこの問題は、わずか数週間・数か月の間アタマをひねって新たなる銃規制法を作ってみても解決するものではないだろう…というわけで、コラムニストのゲリー・アバナシーは次のように結論付けています。
  • この問題の解決には、ちょっと考えにくいことをやることが必要である。即ち党派を超えた対話であり、お互いがお互いの立場充分に考慮するだけのやる気を持つ必要がある。政治とは妥協の芸術であり、妥協とは、自分が普通なら信じてもいないことに賛成するという「芸術」である。誰かリーダーシップをとる人間はいないのか?Instead, it requires something unlikely to happen — a bipartisan dialogue, with a willingness by each side to consider the other side’s position. Politics is the art of compromise, and compromise is the art of agreeing to things you don’t always believe in. Anyone care to lead?


このエッセイにはほぼ6000件にのぼる読者からのコメントが掲載されているのですが、中には "What utter garbage"(全くのごみクズ)と否定し去る人もいます。銃規制に反対するNRA(アメリカ・ライフル協会)が常に挙げる銃規制への反対理由として「自動車だって事故を起こすけれど、運転手が悪いのであって自動車に責任はない」と主張することについて「クルマの運転については免許取得テストなど充分に規制が行われているではないか」として、教師に銃を持たせたら?という提案については
  • Teachers are not soldiers and in any case, that is not the sort of environment conducive to learning. 教師は兵隊ではないし、教育の場には全く不適切
とカンカンに怒っています。


▼上のグラフはアメリカの世論調査機関、Pew Research のサイトに出ていたもので、昨年(2021年)4月に行われた銃規制に関するアメリカ人を対象にした世論調査の結果です。ちなみに昨年1年間でアメリカでは693件の銃乱射事件が起こり、703人が死亡、2842人が負傷しています。このグラフで(むささびにとって)最もショッキングだったのは、支持政党による意見の違いだった。共和党の支持者というのは、何を考えているのですかね。

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3)プーチンの保守主義


ウクライナ戦争に関するニュースを見たり聴いたりしていると、最近ではプーチンの側が有利に戦争を進めているような印象を受けます。が、相変わらず(むささびには)よく分からないのが、プーチンという人間が何をやりたくてこのような行為に及んだのかということです。そんな時に気になったのが、あるサイトに出ていた『ウラジーミル・プーチンの大戦略』という本の書評だった。本自体の著者はアレクサンドル・カザコフというロシアの政治学者なのですが、考え方はプーチンに近い人だそうです。また書評を書いたのは「評論家」の味岡修という人なのですがネットでは「元政治運動家」という肩書(?)もついている。


この本はプーチンのアタマの中にあるものを解説しようとしているのですが、すでによく知られていることから書くと、プーチンは1952年生まれ(むささびより11才若い)、ロシア諜報機関・KGBで対外諜報員を務め中佐で退職した。ソ連崩壊後にできたエリツィン政権に参加し、1999年の暮れにエリツィンから大統領代行を指名された。2000年の初めに大統領になってから(大統領でなかった期間もあるけれど)ほぼ20年間、ロシア国家の権力の座にあった。

味岡氏によると、プーチンは、政敵の投獄や弾圧、報道に対する脅迫や抑圧、自由で公正な選挙の欠如からして、独裁政治家であり、その意味ではスターリン(1879~1953・最高指導者:1924~1953)を想わせるけれど、二人は全く違う。スターリンにはマルクス主義に基づく国家社会主義と世界革命をめざす姿勢があったけれど、プーチンにはそれがない。彼が政治家として登場するのは、スターリンらが推進した「プロレタリア独裁による社会主義ソ連」が崩壊したあとのことだった。


味岡氏によると、ソ連が崩壊したのは、いわゆる「西側諸国」との「冷戦」に負けた結果ではない、社会主義による国家統治が行き詰まってしまったから崩壊したのである、と。政治家としてのプーチンは、崩壊した社会主義による統治に代わる国家構築を模索する中で登場したのですが、彼が目指したのはスターリニズムの再生や継続ではなかった。プーチンは、1917年のロシア革命以来、長い間ロシアを支配してきた伝統的左翼政治を継承するのでなく、保守主義の立場に立った政治を行おうとした。ではプーチンが依って立とうとした「保守主義」とは何なのか?味岡氏は次のように定義づけている。
  • 保守主義とは経験をよりどころとしながら、政治(国家統治)を志向する立場であり、これは理念(イデオロギー)によって政治を考える進歩派、革新派とは違う立場である、実践経験と常識に立つ立場であるといえようか。それは「革命的理論なしに革命運動なし」といったレーニンの言とは対極にあるものであり、理論の拒否ということでもある。

マルクス(左)とレーニン

一般的に言って、保守政党は「抵抗の党」(野党)というよりは「権力の党」(与党)という性格を持つけれど、プーチンが所属する「統一ロシア党」については、ロシア国内で「イデオロギ―がない」という非難が起こったのだそうで、そこで出てきたのが「プーチンのイデオロギー」ということである(と味岡氏は言っている)。つまり、「プーチンの政治哲学→統一ロシア党のイデオロギー」なのであって、「統一ロシア党のイデオロギー」が先にあって、プーチンはそれに従っている、という関係ではないということです。プーチンが大統領として権力の座につく過程での実践的方針がプーチン哲学であり、それがロシア統一党のイデオロギーであるというわけだ…と。

▼20世紀初めのロシア革命をリードしたレーニンは「革命的理論なしに革命運動なし」と言ったのですよね。それまでの専制君主制を打倒して、、労働者中心の社会を作る運動を進めるためには「理論」が必要だったけれど、その一端を提供したのが、半世紀上前にカール・マルクスやフリードリッヒ・エンゲルスが書いた『共産党宣言』(1848年)や『空想から科学へ』(1880年・エンゲルス著)だったのでしょうね。その約100年後にプーチンがウクライナ戦争を始めてしまったけれど、彼には「理論」はない、というより理論を持つだけのアタマがない…と。

▼本日(6月5日)午後のBBCのサイトに出ていた記事の見出しには(むささびも)ぎょっとしました。
▼<「ロシアを侮辱しない方がいい」というマクロンの警告にウクライナがカンカン>という意味ですよね。これはフランスのマクロン大統領がフランス国内の新聞とのインタビューの中で語ったことで、記事の最初の部分だけ読むと、マクロン・仏大統領がウクライナに対して「プーチンはそっとしておいた方がいい」と警告したとしか思えませんよね。実際には「プーチンは自分で自分を根本的に誤った立場に追い込んでいるのであり、そこから抜け出すことが肝心だ」という発言だったらしい。それでもいまいちピンとこないけれど、この発言に対してはウクライナの外相が「ロシアは自分で自分を侮辱しているだけだが、我々が一致協力してロシアをいるべき場所にいさせること」とツイッター発言をしているらしい。

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4)「長期主義」が見る人類の未来



哺乳動物として 自己破滅の能力 自己防衛の能力も

前号の「むささび」で、人類の歴史を「長期主義」の姿勢で考えるオックスフォード大学のマックス・ローザーという研究者による砂時計風のグラフを紹介しました。そのグラフによると、人類は過去20万年間で約1090億が生まれて死に、79億5000万人が現在も生きている(世界の総人口)ことを紹介しました。あの砂時計はあくまでも人間の「過去と現在」の話だった。上の逆三角形の集合体は、同じマックス・ローザーが考案した「人類の将来」(80万年先)を示すグラフで使われているものです。予め言っておくと、三角形一つが表しているのは79億5000万(現在の世界の総人口)という数字です。

で、将来地球上には何人くらいの人間が生まれてくるのか?ローザーの記事は、見出しが "Our potential future" となっていて "Our future" という言葉の真ん中に "potential" という言葉を入れてある。将来のことだから何事も「可能性」の話をするしかないということです。が、一つだけはっきりしていることは、宇宙(universe)というものがこれから何兆年(trillions of years)もの間、存在し続けるということだそうです。
  • :何兆年などと言われても何のことやらピンときませんよね。おそらく「長期主義」というのはそのような世界の話なのかもしれない。「そんなものに付き合ってはいられない」とお考えの皆さまは、このあたりでお引き取りになるのが賢明かと…。


哺乳動物として

その宇宙の中で人間という「種」はこれからどのくらいの期間生存するのか?まずは人間についての基本的な事実から始めよう(とローザーは)言います。それは人間が哺乳動物(mammals)であるということ。人類の生存の長さを想像するための方法の一つが人間以外の哺乳動物の生存の長さを知ることにあるだろう、と。典型的な哺乳動物の「種」としての生存年数は100万年とされているのだそうです。そこで、人間のそれも100万年ということする。そのうち20万年はすでに生きてしまったのだから、残りは80万年ということになります。

現在は人間の数(人口)は79億5000万、国連の統計によると今世紀末(2100年)における世界の人口は約110億で、そのあたりで安定化するのではないかとされている。人間の平均寿命は、現在は72.74才ですが、2100年の平均寿命は88才になる。そうなるとこれからの80万年で、生まれて死んでいく人間の数は100兆人(!)ということに。わ、分かりました、もう止めます。
  • 「100兆人」だなんて、自分でも何を書いているのか、分からなくなってきた。現在の世界人口の約1万2000倍…かな!?


自己破滅の能力

が、最後に一つだけマックス・ローザーの書いた言葉を紹介させてください。それは
  • But, of course, humanity is anything but “a typical mammalian species.”  言うまでもないことだが、人類は哺乳動物の中でも最も「当たり前でない種」なのだ。
というものです。人間という哺乳動物が「当たり前でない種」であることの根拠としてローザー教授は、人間が自分を破滅させる力(power to destroy ourselves)を持っている一方で、他の哺乳類には見られない自己防衛の力(possibility to protect ourselves)も備えていることを挙げている。自己破滅能力の典型が戦争、特に核兵器を使った戦争です。そのおかげで人間は自分を破滅させて人間としての歴史そのものを終わらせる能力(power to end human history)を有してしまっている。


自己防衛の能力も

では、人間だけに与えられた「自己防衛能力」とは何か?教授が挙げているのが、6550年前に恐竜を絶滅に追い込んだとされる巨大隕石(asteroid)のことです。直径10km以上もあったと推定される隕石に襲われては、恐竜たちもなすすべもなかったけれど、人間はすでに「隕石感知システム」(asteroid-monitoring systems)なるものを発明しており、必要に応じてこれを人間防衛の武器として使うことも可能である。つまり…
  • 強力な技術開発によって、人間は普通の哺乳動物に比べると、はるかに長い間生存する可能性に恵まれていると言えるのだ。 The development of powerful technology gives us the chance to survive for much longer than a typical mammalian species.
とローザーは言っております。

前号では人類の「過去と現在」を示す砂時計のような図をお見せしました。申し訳ないのですが、今回も似たようなものをお見せします。下に挿入した「人類の未来?」大きなボックス風の図です。中には小さなグリーンの逆三角形がびっしり詰まっています。この図の一部を取り出して拡大したものをボックスの真ん中あたりに入れておきます。


哺乳類としての人類が地球上に生存できる期間を100万年とします。人類はこれまでに20万年を生きてしまっているから、残りの生存期間は80万年ということになる。このボックスはその80万年の間に地球上に生まれてくるであろう人間の数を表しています。逆三角形1個につき79億5000万(現在の世界の総人口)の人間が入っていると思ってください。ボックスの中に入っている逆三角形の数は12,572個です。人間の数に直すと「79億5000万X12,572」で、これを計算すると「99兆9474億」と言いたいところなのですが、この世に生まれてくる人間の数はいつまでも79億5000万とは限らない。ローザー氏の計算によると、人間の平均寿命はやがて88才となり、世界の総人口は110億あたりで安定化するらしい。この計算が正しいとすると、これからの80万年で、約100兆の人間が生まれては死んでいくという計算になる。

▼はっきり言うと、「何だかよく分からない」というのがむささびの感想です。申し訳ない、わけの分からないものを延々と語ったりして。いずれにしてもこの逆三角形のグラフはここをクリックするとローザー氏の解説付きで出ています。
 
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5)どうでも英和辞書
A-Zの総合索引はこちら


Whataboutism: 論点ずらし

大学で教える人たちが集まっていろいろと議論するサイトである The Conversation の5月20日号で、ノッチンガム・トレント大学のベンジャミン・カーティスという人が書いた "What is whataboutism?" という趣旨のエッセイを読むまでは、むささびはこんな言葉聞いたことがなかった。ただこれも「知らぬはむささびばかりなり」だったようで、日本のサイト当たったらこの言葉の意味について結構議論がなされているようでした。例えば香山リカという人によると「論点に直接反論せず、相手の言動が主張と矛盾していると指摘して相手の論点の信用をなくそうとする議論のやり方」のことで、別名「そっちこそどうなんだ主義」とも言うのだそうです。

ベンジャミン・カーティスが挙げている典型的 "Whataboutism" の会話:
  • A:You lied about where you were last night! 昨日の夜、あんたがどこにいたのか、ウソついたよね。
  • B:Well, what about you? You lie to me all the time! あんたこそどうなのさ。いつもアタシにウソばかりついてるじゃん!
この場合、Bが whataboutist であるわけです。英国のジョンソン首相が、国会における党首討論会で、コロナによる都市封鎖時に官邸でパーティーを開いていたことを責められて、労働党のキア・スターマー党首に「あんたこそ検事だったときに過ちを犯したことがあるそうではないか」とやり返したことなどがWhataboutismの典型とされている。

アメリカのドナルド・トランプが大統領時代に、記者から自分の失策について責められると「でも、あいつはオレよりひどいぜ」という趣旨の発言をすることがしばしばあった。ワシントンではトランプのこのやり方を“favourite dodge”と呼んでいたのだとか。「お得意の言い逃れ」とでも訳すのでしょうね。

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6)むささびの鳴き声
▼フェイスブックを見ていたら、むささびが昔一緒に仕事をした英国人が、エリザベス女王の即位70周年記念行事について「女王を大いに尊敬しているけれど、即位記念行事はすでに十分にやった」(Great respect for the Queen, for the job she has done for so long. But enough Jubilee, already)と書いたら、早速その人の友人と思われる英国人からコメントがあり「そのとおりだよ、これで彼女が亡くなったらどうなるんだ」(Couldn’t agree more, what happens when she goes?)と言っていました。要するに今や英国中が盛り上がっている、ということは止めようがないけれど「ちょっと行き過ぎでは?」ということ?

▼エリザベス女王が日本を訪問したのは1975年の一度だけ。英大使館の仕事を始めたばかりのむささびは、京都から鳥羽方面を訪問する女王とエディンバラ公に先乗りする形で同行記者団の世話をさせられたことを記憶しています。今でも鮮明に憶えているのは鳥羽から名古屋へは近鉄特急で行かれたのですが、その沿線に直立不動の姿勢で立っていた沢山の警官の姿でした。名古屋から東京へは新幹線(下の写真)を利用されたのですが、「女王が公共の交通機関を使うのは珍しい」と同行の英国人記者たちが言っていたっけ。あれから47年経つんですね!


名古屋から東京へ向かう新幹線車内の女王とエディンバラ公。
窓の外の家並みも懐かしい。

▼女王の犬好きはよく知られてり、BBCのサイトをクリックすると彼女が18才のときに誕生日プレゼントにもらったコーギー犬を皮切りに、これまでの人生を共にしたワンちゃんたちの家系図が出ている。ちょっと面白いのはワンちゃんの名前です。もちろん全て女王が命名したわけではないのですが、最初のワンちゃんの名前はSusanで、彼女から生まれたのがSugar, Honeyときて、さらに次の世代はSherry, Whisky, Beeという具合で食べ物や飲み物が多い。Susanは人間の名前ですが、それ以外の人名としてはHeather, Cindy, Harrisなどが並んでいる。現在は3匹飼っており、2匹はコーギーで、一匹はドーギー(dorgi)。ドーギーはコーギーとダックスフンドのあいの子だそうです。

女王の愛犬の墓石

▼自分でもよく分からないものを載せてしまった4つ目の「長期主義」、申し訳ない。これから80万年経つ間に約100,000,000,000,000の人間が地球上に出てきて消える…100兆人!日本の10万倍。確かにそれを考えると西暦2022年なんて、まだまだ始まりよね。あほらしいことばかり書いてしまい、失礼しました!

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