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むささびの鳴き声
077 イングランドにて:BBCが伝える日本サッカー

2010年ワールドカップでドイツにやられたイングランド選手の帰国風景を伝える英国紙の論調とあまりにも違うのが、パラグアイに負けて帰国した日本選手を迎えるファンの様子を伝える産経ニュースの記事ですね。「感動をありがとう」というわけで、関西空港に詰めかけたファンから「次々にニッポンコールがまきおこった」とのことであります。

英国の論調がこれほどまでに選手たちに厳しかったのは、相手がドイツであったからなのか、負けっぷりが悪すぎたからなのか・・・おそらく怒っている本人たちにもよく分からないのかもしれない。それにしても英独戦の前にNew York Timesが「英国人がヤイヤイ騒ぐほどドイツ人は英国を敵視していない」と言っていました。これにはイングランドの人々はますますアタマへ来たでありましょうね。「眼中になし」と言われたのと同じで、しかも実際に歯が立たなかったのですから。

日本とデンマークの試合をBBCで中継したのを見たのですが、そのゲームで日本の選手が立て続けに二人、イエローカードをもらったシーンがありましたね。その理由が、スローインの際に何もしないでボールを長く持ち過ぎたということだったと記憶しています。そのときにBBCの解説者(元フットボール選手)が「ボールの持ち過ぎでイエローカードなんて初めて見た」という意味のことを言っていました。こちらのファンから見ると、日本の選手の動きは失敗を怖れてばかりいるという風にうつるのかもしれない。積極的でないのです。だから失敗は少ないかもしれないけれど、見ていていらいらするという部分がある。

同じことが野球にも言える。前にも書いたことがあるけれど、アメリカのジャーナリストであるロバート・ホワイティングが、日本のプロ野球の試合がやたらと長いのは、2−3のフルカウントがあまりにも多すぎるからだと批判していましたね。パターンが決まっている。第一球、見逃しのボール。第二球もボール。第三球はストライクでカウントは1−2。四球目はファウルボールで2−2となって、五球目がボールでフルカウントというわけです。

なぜこうなるのか?解説者(ほとんどが元プロ野球の選手)の言うことを聴いていると察しがつきます。第一球からスイングしてアウトになんぞなろうものなら「もっと慎重にいかなければダメ」とくる。これは打者に対するお叱りです。次にピッチャーが第一球からストライクを投げてヒットを打たれたとします。「最初からど真ん中に投げるのはあまりにも無策」とくる。要するに第一球に関しては、ピッチャーはボールを投げ、打者はスイングをしないのが正しい野球であると思いこんでいるふしがある。その底にあるのは「間違ったらアカン」という消極性であり、「勝つ」ことよりも「負けない」ことを大切にしてしまう哀しい習性のようなものです。お陰でフルカウント野球は時間がかかる割には面白くない。

サッカーのことは全く分からないのですが、見るスポーツとしての面白さは全員が一丸となって敵陣に攻め込んでいくときのパスのスリル、それと個人プレーの場合はドリブルのスリル・・・これらが基本のように思えるのですが、違いますか?つまり日本がデンマークに勝った試合でも3点目がいちばんサッカー的だったということです。



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