musasabi journal

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414号 2019/1/6
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BREXIT 美耶子の言い分 美耶子のK9研究 むささびの鳴き声 どうでも英和辞書

2019年、むささびジャーナルも16年目に入ります。毎回載せているものに「どうでも英和辞書」というコーナーがあります。文字どおりあってもなくても「どうでもええわ」かもしれないけれど、ひょっとすると話のネタ提供の役割くらいは果たしているかもしれない。新年の第1号は、この「どうでもええ」企画を再確認してみました。アルファベット一文字につきテーマは一つだけ。いずれも何らかの形で「英国」が絡んでいます。気楽に楽しんでもらえると嬉しいのでありますが・・・。
index目次  
A
abbreviations
略語
J
JAMs
どうにか生きてる人たち
S
Sellotape
セロテープ
B
buyer's remorse
買ってから後悔する
K
keep clear
駐停車禁止
T
times table
掛け算表
C
crocodile tears
ウソ泣き
L
locking the stable door
厩に鍵をかける
U
upside down
さかさま
D
dementia
認知症
M
middle class
中流階級
V
veracity
信頼度
E
elephant in the room
部屋の中の象
N
nimby
地域エゴ
W
wine and dine
接待する
F
First Past the Post
小選挙区制
O
oxymoron
矛盾語法
X
xx
じゃあね
G
grief bacon
悲しみのベーコン
P
patriotism
愛国心
Y
yawn
あくび
H
How are you?
ご機嫌いかが?
Q
queuing
行列
Z
zero hour contracts
ゼロ時間契約
I
in the near future
近い将来
R
rather
とても・・・
むささびの鳴き声
*******************
abbreviations

略語
「略語」にもいろいろありますよね。EU、UN、NATOのような機関や組織名は極めて一般的ですが、UNESCOって何の省略形なのか?恥ずかしいのですが、むささびは「ユネスコ」としか憶えていなかったのでアウトでした。正解はUnited Nations Educational, Scientific and Cultural Organization(国際連合教育科学文化機関)。

次に話し言葉を文字にしたときの省略形としては"ASAP(as soon as possible)"や"IOU(I owe you)"、FYI(For your information)などがあるけれど、ネット時代になって使われ始めた省略となると全くアウトですね。"lol"(laugh out loud)は日本語で書くと「(笑)」、CUL(See you later)、TU(Thank you)、ILU(I love you)なんかになるともうさっぱり。

"TGIF"が"Thank God, it's Friday"の略語だってことは言いましたっけ?「きょうは金曜、うれしいね」ということですが、同じことを言うのに"POETS"というのもある。もちろん「詩人」のことではありません。"Piss off early. Tomorrow's Saturday"の略だから「明日は土曜日、さっさと消えようぜ」ということ。いずれにしても明日が土曜日であることのウキウキ感を表す略語ですが、いかにも労働者感覚でどこか哀しくていいよね。

そういえばサッチャーさんのTINA(There Is No Alternative)なんてのもありましたね。彼女が首相になった当座(1979年)英国はひどい経済状況に陥っていた。それもこれも(サッチャーさんに言わせると)「労働党と労働組合が悪い」ということになり「英国をストライキ病から救うには荒療治しかない」というわけで、民営化だの規制緩和だのを断行した。そしてサッチャーさんが言い放ったのがThere is no alternative...訳すと「他にやりようがない=これっきゃない」ということで、「文句あっか!?」という意味でもある。

日本語の略語にも信じられないようなものがありますね。「ネトウヨ」とか「マジオコ」(マジで怒ってる)などはまだマシな方で、「ようつべ」(YouTubeの略)、「ハゲる」(激しくいい)、「ナウしか」(今しかない)などとくると本当に気がくるってしまいそうです。「気くる」ですな。ただ考えてみるとスマホ、パソコン、コンビニ、デパ地下・・・みんな abbreviations なんだ。
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buyer's remorse

買ってから後悔する
高いお金を払って買ったパソコンなのに、使ってみたらすぐにダウン、こんなもの買わなきゃよかった・・・これが典型的な "buyer's remorse" ですが、この表現は必ずしもモノの購入に限らず、「あんなことやらなきゃ良かった」という後悔を表すのにも使える。

最近の例として、さして事情も分からずに「EU離脱」に投票してから「やっぱまずかったかも」と考えている英国人の心境を表すのにも使われている。"remorse" という言葉には、自分がやったことについての「罪悪感」(sense of guilt)が含まれる。「あんなこと、やっちまった自分が悪いんだ」という感覚です。
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crocodile tears

ウソ泣き
鰐は人間と同じように眼球の潤滑剤のような役割を果たす涙を流すのだそうですね。ただ獲物をムシャムシャ食べながらも目には涙が浮かんでいる様子から「獲物が可哀そうで泣いているのではない」というわけでcrocodile tears(ウソ泣き)という言葉が生まれたのだとか。

英国のブレア元首相が書いた自身の回想録の中で、自分がやってしまったイラク戦争の結果として出てしまった犠牲者について「自分としても実に悲しかった」という趣旨のことを書いたところ、死亡した英国兵士の家族が「あんなのウソ泣きに決まってる」(They seem to me like crocodile tears)とコメントしたことがメディアによって伝えられている。ブレアの「悲しみ」なんて「自分の業績を美化しようとする不真面目な試みにすぎない」(cynical attempt to sanitise his legacy)とのことであります。
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dementia

認知症
英国アルツハイマー協会(Alzheimer's Society)のサイトに英国における認知症に関する数字が列挙されています。
  • 認知症の人数:今現在は約85万人ですが、2025年には100万に、2051年までには200万人に達するものと推測されている。
  • 年令:80才以上の6人に一人がこれに罹っており、ケアホームで暮らしている人の7割が認知症もしくは極度の記憶障害に陥っている。65才以下の患者数は約4万人。
  • コスト:認知症に要するコストの3分の2は患者あるいはその家族によって賄われているのですが、患者のケアに無給で当たっている人びとが英国経済全体に貢献している金額は約110億ポンド(約8100億円)にのぼると推定されている。
  • 世界の認知症:現在の患者数は約4680万人、年間約770万人が発症すると推定されており、2050年には総患者数が1億1540万人に達すると推定されている。
  • ネット情報によると、日本の認知症患者数は2012年時点で約462万人、65歳以上の高齢者の約7人に一人と推計されています。英国などとは比較ならないような数字です。
ジャーナリストの大熊由紀子さんによると、愛知県大府市が「認知症になっても安心な条例」というのを作ったのだそうですね。ここをクリックすると詳しく出ているのですが、数年前に認知症の人が快速列車にはねられて死亡したときに(あろうことか)JR東海が遺族に対して「事故による振り替え輸送にかかった費用720万円を支払え」と請求したことがあった。会社側の請求は裁判で退けられたのですが、その後大府市が作った条例によると、行方不明になるおそれのある認知症の人の家族が市に登録すると、市は本人と家族に代わって、1人2000円ずつ保険会社に保険料を支払う。認知症の人が、万が一、事故などで他人に損害を与えたりしても、保険会社から保険金が支払われるため、本人や家族の負担を減らすことができるというシステムです。制度を始めて半年、大熊さんによると48人が登録を済ませたとのことです。
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elephant in the room

部屋の中の象
象のようなでかい動物が部屋にいれば見えないわけがない、でもあえて見えないふりをする(A large issue that everyone is acutely aware of, but nobody wants to talk about)・・・そのような話題のことを「部屋の中の象」という。つまりタブー、かな?

例えば、気候変動の問題と取り組むためには人口問題と取り組む必要があることは専門家なら誰でも知っている、なのになぜか誰もそのことには触れたがらない。人口問題を語り始めると女性の権利、避妊器具の普及、人工中絶などの問題に発展し、さらにはLGBTの待遇問題にまで発展して収拾がつかなくなる、ま、この際、二酸化炭素の排出規制の話でもしておいた方が話が進むのではないか・・・しかしいずれはこの問題に取り組まざるを得なくなる・・・that's the elephant in the roomというわけであります。むささびが思う「部屋の中の象」はシンゾーの反米意識です。が、その話をし始めると長くなるので止めておきます。
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First Past the Post

小選挙区制
競馬をやる人ならご存じのとおり、最後の直線コースに入って何頭もの馬がゴール目指して駆け込んでくる。そして最後にゴールの標識(Post)のところを通り過ぎる。標識を最初に通過(passed)した馬が勝ち。勝ち馬は一頭だけ・・・というわけで "First Past the Post (FTPT)" は、一つの選挙区に何人の候補者が立っていても、獲得票数が最も多い候補者が一人勝ちする単純小選挙区制ということです。 19世紀の初めから英国の選挙はこのシステムで行われています。

直近では一昨年(2017年)メイ政権の下で選挙が行われたのですが、メイさん本人の選挙区(南東イングランドのMaidenheadという町)では、メイさんも含めて13人が立候補した。結果はメイさんが約3万8000票を獲得して当選、2位は約1万1000票の労働党の候補者だった。メイさんの得票率は全体の65%だから全くの楽勝と言える。

が、全国的な規模での選挙結果はというと、保守党の得票率は42%と半数を割っており、それを反映して獲得議席数でも単独過半数には届かなかった。下の表にある「その他」にはスコットランド、ウェールズ、北アイルランドの地域政党も含まれており、これらは自民党、緑の党、UKIPのような全国政党とは性格が異なる。ただ自民党の場合、労働党(1300万)の約5分の1にあたる240万票を獲得している。なのに下院における獲得議席数は12議席で、労働党(262議席)の20分の1にも及ばない。FPTPという制度の持っている問題点だと指摘する人もいる。
2017年選挙結果

労働党と保守党という2大政党が政権を争っている間は、選択がはっきりしており、勝ち負けがはっきりするから政治的な安定という意味ではFPTPは悪いシステムではないと言われる。しかし最近では労働・保守以外の政党も市民権を得てきており、特に第三政党といわれる自由民主党(Liberal Democrats)を支持する人も相当数いる。さらにEU離脱をめぐっては保守・労働の両党ともに分裂しており、特に労働党の場合はトニー・ブレアを中心に新しい政党(右寄り労働党)を作る動きも出て来ている。
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grief bacon

悲しみのベーコン
"grief bacon"を和訳すれば「悲しみのベーコン」という日本語になるけれど、この英語の元の言語はドイツ語で"Kummerspeck"です。kummerは「悲しみ」(grief)でspeckは「ベーコン」(bacon)、併せて「悲しみのベーコン」となる。ただドイツ語の"Kummerspeck"は「感情にまかせた過食によって増えた体重」(Excess weight gained from emotional overeating)のことなのだそうです。愛する者を失った人が悲しみを紛らわせようとして過食するのはよくあることですが、当然体重が増えますよね。そのような状態のことを"Kummerspeck"というのですが、これを一語で表現できる英単語がなく、かと言ってそのまま訳して「悲しみのベーコン」とやっても通じない。

このようにある言語では一語で言うのに、別の言語にはそれがないというケースは案外多いのですね。日本語の「あさって」は英語では"day after tomorrow"だし、「おととい」は"day before yesterday"となる。これについては「一語で言える英語を作るべきだ」とする声もあるらしい。確かに「あさって」のことを「あしたの次の日」と言い、「おととい」のことを「昨日の前の日」などと言わなければならないのは面倒なハナシですね。ここをクリックすると、このような英語への直訳が出来ない外国語の例が出ています。
  • Sombremsa(スペイン語):直訳すると"over the table"(テーブルを挟んで)ということになるけれど、実際の意味は「食事は終わっているのに延々と会話を続ける」こと。
  • Utepils(ノルウェー語):"outside beer"という意味ですが、これは文字通り屋外で飲むビールのことだそうです。
  • Kalsarikännit(フィンランド語):訳すと"underwear drinking"となるのですが、自宅でたった一人で下着一枚で飲む酒のこと・・・日本語には「独り酒」というのはあるけど「下着酒」というのはないな。
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How are you?

ご機嫌いかが?
”How are you?"と言われて、あなたならどう答えますか?普通は"I'm fine."とか"I'm OK."とか言いますよね。"Rules Britannia"という本によると、それはアメリカ人の答え方なのであります。英国人の答えは"I'm not too bad..."であり、これがアメリカ人の気に障る・・・と、この本の著者であるトニ・サマーズ・ハーギス(Toni Summers Hargis)という英国人(女性)は申しております。トニは英国人なのですが、シカゴで暮らしている。ご主人(アメリカ人)とは英国で知り合って結婚したのですが、仕事の関係で現在はアメリカ暮らしというわけです。

"Rules Britannia"という本は、アメリカ人が英国人と付き合う際に気をつけた方がいいと思われることを書いているのですが、当然、アメリカ英語と英国英語の違いにも触れられています。高速道路はアメリカでは"freeway"、英国では"motorway"、地下鉄は英国では"underground"なのにアメリカでは"subway"等々、数え上げればきりがない。

で、”How are you?"の件ですが、トニによると、アメリカ人の返事は、"Great"とか"Fine"のような言葉をつぶやく程度で終わってしまう。極端にいうと何も言わなくても大して問題にはならない。つまり問いも答えもさしたる意味は持っていない。彼女によると、アメリカ人は少々調子が悪くても"I'm OK"などと答える。英国人の場合は"How are you?"をマジメに考えて答える傾向があって、調子が悪いと"I am not really good"と答えたりするのだそうです。さらに英国人は気分爽快にもかかわらず"How are you?"と聞かれて、"Not too bad"(それほど悪くはない)とひねくれた答え方をしたりする(とアメリカ人には響く)。トニに言わせると、それはひねくれではなくて、英国人なりの「謙遜」(modesty)なのだから気にするなとのことであります。
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in the near future

近い将来
「近い将来」っていつのことなのさ・・・ケンブリッジの辞書には"a time which is not far away"と出ています。「近い将来=遠くない時期」というわけです、素晴らしいじゃありませんか。

Urban Dictionaryという辞書の説明が納得いきますね。「近い将来がいつのことなのかなんて誰にも分からない。それはミステリーなのだ」(Nobody knows how long the near future is, it's a mystery)としたうえで、それでもそのような質問をして来る人間を黙らせるための表現であるとのことであります。「近い将来結婚しよう、な?」「近い将来っていつのこと?」「だから近い将来だよ、分かった?」(Sometime within the near future it will be done. Does that answer your question?)ということ。
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JAMs

どうにか生きている人たち
JAMは "Just About Managing"(なんとかギリギリでやっていく)の略語で、これに"s"がついて複数形になる。つまり「(経済的に)どうにか生きてる人たち」のこと。

3年ほど前にある政策提言集団が使った言葉なのですが、2016年にキャメロン首相のあとを継いで首相になったメイさんが「自分がいちばん助けたい人びとがJAMである」と発言したことで一種の政治用語として定着してしまった。メイさんによるとJAMとは「仕事はあるが安定していない」、「住宅はあるがローンの支払いでアップアップ」、「ギリギリの家計で、子供をまともな学校へ行かせることができるかどうか・・・」という感じの人らしい。

世論調査会社のYouGovによると英国人の37%がこれに相当するのだそうです。BBCが伝える典型的JAM家族の場合、子供3人、共働きで夫婦合わせた年収は3万6000ポンドとなっています。日本の金銭感覚でいうと年収ざっと360~400万円という感じですかね。
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keep clear

駐停車禁止
英国の道路を走っているとKEEP CLEARの文字が道路上に書かれていることがあります。大体において曲がり角の数メートル手前のことが多く、意味としてはその部分にクルマを止めるなとか、そのスペースはあけておけということです。Hertfordshireにある幹線道路に書かれたKEEP CLEARのサインがスペルミスでKEER CLEAPとなっていたことが付近の住民からの指摘で訂正されることになった。スペルミスを指摘したのが、言語を読むことに困難を感じるdyslexia(難読症)を抱える人(39才・男性)であったことでなおさら話題になってしまった。地元道路局では、ミスを指摘されてから24時間以内に訂正し「不幸な誤り」(unfortune error)を謝罪するコメントを発表したのだそうです(Daily Mail 2010年4月2日)。

たしかにかっこ悪いけれど、非常にあり得るミスだと思いません?道路に大きな文字を書くときは、おそらくひと筆ひと筆集中しているのでしょう。そうすると信じ難いような間違いをするものなのですよ。文字が大きければ大きいほどやるんですね。ちなみにGoogle検索で "Keer Cleap" と入れてみたら "Keep Clear" に関する情報がわんさと出てきました。
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locking the stable door...

厩(うまや)に鍵をかける
馬が逃げないようにするために厩の戸の錠をおろすことですが、この文章はafter the horse has bolted(馬が逃げてしまった後で)という文章を続けないと意味がない。空っぽの厩に鍵をかける・・・つまり「泥縄」のことですね。ネット辞書によると泥縄とは「泥棒を捕まえてから、慌てて(泥棒を)縛るための縄を作ることで、事が起きてから慌てて準備することを意味する」となっています。

2011年に起きた福島の原発事故についての当時の菅直人首相らの対応について、民間の事故調査委員会が「稚拙で泥縄的な危機管理で、災害の拡大防止に役立ったとは言えない」と批判している。つまり「馬が逃げてしまった後で厩に鍵をかけるようなことをやっていた」と(この委員会は)考えているようであります。2020年の東京五輪の際に首都直下型大地震が起きたら・・・というのは"locking the stable door"の例にあたるのでしょうか?
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middle class

中流階級
"middle class"という英語をCambridge Dictionaryで引くと英国と米国では微妙に違う意味を持っているという気がします。
  • 英国の場合:医者・弁護士・教師のような高い教育レベルの人びとから成る社会グループで、職業に恵まれ貧乏ではないけれどそれほど金持ちというわけでもない。a social group that consists of well-educated people, such as doctors, lawyers, and teachers, who have good jobs and are not poor, but are not very rich. 
  • 米国の場合:普通の人びとからなる社会グループで通常は恵まれた仕事に就いてはいるが、金持ちでも貧乏人でもない。a social group that consists of ordinary people who usually have good jobs and are neither rich nor very poor.
この説明だけ見ると、米国の"middle class"が単なる「中くらい」という人たちであるのに対して、英国のそれはいわゆる「階級社会」の中の「中流」という気がするし、実際、英国で"middle class"というと、どちらかというと恵まれた階層という意味として使われていると(むささびは)思います。ちなみにOECDの調査によると、英国は加盟国の中でも最も社会的流動性が乏しい国とされている。つまり両親が金持ちだと子供もそれ受け継いでリッチであるケースが多く、そうでない子供たちが社会的に這い上がるのはタイヘンだということです。
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nimby

地域エゴ
NIMBYが"Not In My Back Yard"の略であることをご存知の方は多いと思います。産業廃棄物処理施設、刑務所、高速道路等など、社会的に必要であることは認めるけれど自分たちの町に作るのはカンベンして・・・という住民エゴというのはどこにでもある。ちょっと古いけど、英国におけるNIMBY現象というと必ず引き合いに出されるのが、ロンドンから南へクルマで約1時間のところにあるアシュテッド(Ashtead)という村のことです。10年以上も前のことなのですが、戦争で負傷した兵士のリハビリセンター近くに、兵士の家族のための宿泊施設を作ろうとしたところ、付近の住民が大反対したという件です。

この村にある負傷兵のリハビリセンターそのものは出来てから60年も経つのでありますが、負傷兵を見舞いに来た家族のための宿泊施設を作ろうとした支援団体が、売りに出ていた住宅(時価170万ポンド:約2億5000万円)をそのために購入しようとしたところ、町役場に反対の手紙が殺到した。「クルマの渋滞がひどくなる」「地域のキャラクターが失われる」「テロの対象になるのでは?」等々の理由が挙げられていた。これに対してはメディア報道のせいもあって地域エゴの見本のように見られてしまった。その後、この騒ぎがどうなったのか、ネットを見る限りにおいては支援団体が計画を断念したという報道がないところを見ると、結局実現したのかもしれない。
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oxymoron

矛盾語法
"oxymoron"を研究社の英和辞書で引くと「矛盾語法」と出ており、「互いに矛盾した語を並べて特別の効果をねらう表現」と説明されています。"cruelly kind"が例として出ている。「残酷なほど親切」というわけですが、これはどういう状態のことですかね。"open secret"(公然の秘密)というのは分かりますね。ウェスタンソングでビートルズも歌った"Act Naturally"という歌は「自然に振舞う」という意味ですが、"act"には「ふりをする」という意味でもあるので「自然に」というのは矛盾している。上手な映画俳優になるための条件として使われている「矛盾語法」です。

ここをクリックすると"oxymoron"の例がいろいろ出ている。"old news" "only choice" "awfully good" "militant pacifist" (過激な平和運動家)等々。"Australian culture"というのを"oxymoron"の例に挙げた英国人がいる。「オーストラリアと文化は矛盾する」というわけです。如何にも英国のオックスブリッジがやりそうな失礼なギャグです。
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patriotism

愛国心
愛国心」については英国人もいろいろ言っています。
  • ジョージ・オーウェル(作家・ジャーナリストl)
    愛国主義とナショナリズムを混同してはならない。愛国主義は本質的に受け身(defensive)である。「自分の生まれ育った国が世界で一番素晴らしいところ」であるとは思うけれど、他人にそれを押し付けようという気はない(no wish to force on other people)。ナショナリズムには「権力志向」(desire for power)がつきものだ。ナショナリストは自分自身というより自分を忘れて献身する国のために全てを捧げようとする人間たちである。
  • ジョージ・バーナード=ショー(劇作家)
    愛国心とは、この国が他のどの国よりも優っていると確信することである。その理由は、自分がそこに生まれたというだけのことなのにだ(because you were born in it)。
  • バートランド・ラッセル(哲学者・数学者)
    愛国主義とは、くだらない理由で他者を殺害し、自分も殺されることを是とする態度のこと。Patriotism is the willingness to kill and be killed for trivial reasons.
  • サミュエル・ジョンソン(文学評論家)
    愛国主義はならず者の最後の逃げ込み先のこと。Patriotism is the last refuge of a scoundrel.
  • エドモンド・バーク(政治ジャーナリスト)
    我々が国を愛するためには、国自身が愛するに足るものにならなければならない。
むささびは1941年(昭和16年)生まれなのですが、日本の昔の「愛国心」の被害をこうむったわけではありません。小学校に行くころには、もう戦争も愛国教育も終わっていたのですから。なのに、愛国心とか「日本人ってすごいよね!」とか言う人を見ると顔をそむけたくなる。それは彼らの言葉が劣等感に基づく強がりだからなのでしょう。
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queing

行列
英国人は行列が上手・・・ということは英国人自身が考えていることです。それが証拠にラグビーのスクラムのことを英国人は"French queuing"と呼ぶのだそうです。フランス人は行儀が悪くて、並ぶときでもつい押し合いへし合いになってしまう・・・これは英国人が使う陰口であります。もちろん英国人だって行列が好きなわけではない。あるアンケート調査によると、英国人がイチバン嫌がる行列はトイレの順番待ち、次いで病院の待合室、飛行場、スーパーのレジ、銀行となっている。

ロンドンのユニバシティ・カレッジのエイドリアン・ファナム(Adrian Furnham)という教授が、ある保険会社の求めに応じて英国人と行列に関する研究を行ったのですが、それによると行列を作る英国人がイラつき始めるのは並び始めてから約6分後だそうです。この時点で行列を離れてしまう人が非常に多い。「6」ついでに言っておくと、人が並んでいるのを見て英国人が行列に参加するのは行列が6人以下である場合です。

ただ・・・6人以下の行列に加わって6分経過した時点で列を離れる英国人でも、その時点で自分の後ろに並んでいる人が6人を超えていると思い直して行列にとどまる傾向がある。つまり自分以上に我慢している人間がいると分かると「もうちょっと我慢しよう」という気分になるということですよね。でも何故そのような気になるのか?「これだけ沢山の人が並んでいるということは、並ぶ価値があるってことだ」と考える人間が多いということなのでしょう。その種の他力本願はいじらしいのか情けないのか。
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rather

とても・・・
"rather"という単語の意味についてある英和辞書に「いくぶん、やや」というのと「かなり、ずいぶん」という訳が出ていました。どっちなんだ、と言いたくなるけれど、説明として「控えめな表現では意味は much, very になる」と書いてある。要するに「いくぶん」のように控え目な言葉を使いながらも実は「非常に」という意味で使われることもあるということなのでしょうね。MacMillan Dictionaryという辞書によると、ものの程度を表現するのに"rather"を使うのは英国人でアメリカ人は"pretty"を使うのだそうです。

"How was the film?"(映画、どうだった?)と聞かれて英国人が "Rather good" と言ったら「まあまあ良かった」ではなくて「すごく良かった」という意味なのだそうです。アメリカ人の場合は "Pretty good" と言うのでしょうね。
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Sellotape

セロテープ
知らなかったのですが、Sellotapeというのは英国のセロテープメーカーの商標なんですね。1937年にロンドンのアクトンという場所にあった工場で作られたのが最初だそうです。セロファンのような透き通った材料で作られているから「セロテープ」というわけ。

これも知らなかったけど、5年ほど前からネット上でSellotape-Selfieなる遊びが流行っているのだそうですね。自分の顔にセロテープを貼りまくり、それを自分で撮影してネット上に公開するという遊びで、これを始めたのは英国・ブライトン大学のLizzie Durleyという女子学生。それまでは単なる自己撮影で写したものを公開して楽しんでいたのですが、自分の顔にセロテープを貼りまくった写真に自分で大笑い、それをFacebookに掲載したらこれがバカ受けということになってしまった。でも・・・これって、テープをはがすときかなり痛いのでは?
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times table

掛け算表
times tableは日本でいう「九九表」のことですね。英国の子供たちが学校で習う掛け算は「九九」ではない。「掛け算表」は縦横それぞれに1~12まで並んでいる。つまり1X1に始まって、最後は12X12まであるのでありますよ。「九九」の場合、我々は「サブロク・ジュウハチ」とか「ハッパ・ロクジュウシ」という具合に理屈抜きで暗記しましたよね。9X9は文句なしに「ククハチジュウイチ」だった(と思う)。でもそれは9X9までの話。10Xは最後にゼロが付くのだから簡単。11Xも9までの答えは掛ける数字が並ぶだけ(11X6=66, 11X9=99)だから単純といえば単純だけど、(むささびに関する限り)"11X11"とこられると121という答はそれほど簡単には出ない。ましてや"11X12", "12X12"となると一桁計算ほど自動的に答えは出てこない。

英国の子供たちはどうやってこれをマスターするのか?と思ってTimestablesという教育サイトを見てみたら、基本的には「身体で憶える」という感じだった。1から12までの数字の列に出てくる掛け算を、まずは声に出して何回も言う、次に答えを手で書く・・・というステップをひたすら繰り返す。そうすれば”1X1=1"から"12X12=144"まで身体で憶えるのもそれほど難しいことではない(らしい)。
ただBBCなどによると「12X12表」を記憶する子供たちの場合、多くの子供たちが間違える掛け算があるのだそうです。それは「6X8=48」というもので、ある小学校では62.5%の子供たちが間違った答えをしたのだそうです。どうやら1~12の中でも真ん中あたりの数字が絡むとダメな子供が多いらしい。5以下とか10以上の数字が絡む場合はほとんど問題がない。可笑しいのは、政治家などが自己PRを兼ねて授業参観をやることがあり、その際に子供たちから掛け算の問題を出されて間違ってしまうことがある。教室を訪れたある労働党の大臣が「7X8はいくつ?」と問いかけられて「7X8は54だよ」とやって大恥をかいたことがある。それ以来、政治家はこの種の質問には答えないのだそうであります。
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upside down

さかさま
本来は上に来る部分(upside)が下(down)に来ている・・・すなわち「さかさま」になっている状態を表す副詞です。上の英国国旗(Union Flag)の写真ですが、左がまとも、右がさかさまです。左の旗の左上隅にご注目を。斜めの白地(青地と併せてスコットランドを表す)に赤い斜め線(アイルランドを表す)が入っていますよね。その赤い斜め線が白地の下の部分に刷り込まれており、上の部分の方が白地の幅が広い。つまり赤い斜め線は白地の真ん中を走っているわけではない。四隅を見て、赤い斜め線が左の旗のように入っているように掲揚するのが正解ということです。さかさまに掲揚すると右のようになってしまう。

実にややこしいハナシで、英国人でさえも間違うことがある。YouGovという調査会社のアンケートによると、55%の英国人が国旗の正しい掲揚の仕方を知らなかったのだそうです。日の丸は楽ですね。ネット情報の受け売りですが、白地の部分は横1に対して縦が3分の2、赤い円の直径は縦の長さの5分の3。例えば横3メートルの場合、縦は2メートル、赤い円は1.2メートル・・・赤い円は旗全体の中心に置く・・・これだけ。つまり日の丸の場合は「さかさま」はあり得ないってこと?
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veracity

信頼度
世論調査会社のIPSOS-MORIが毎年行っている職業別信頼度調査の最新版(2018年)によると、最も信頼されているのは看護婦、信頼度の最低は広告業となっている。ここでいう「信頼度」ですが、約1000人の成人を対象に24種類の職業を挙げてそれぞれについて「真実を語っていると思うか?」(Do you generally trust them to tell the truth, or not?) と質問するもので答えはそれぞれについて"Yes or No"のどちらかであるわけです。看護婦については96%の人がYesと答えているのですが、わずかとはいえ「医者」(92%)を上回っている。信頼度最下位の「広告業」についてはYesと答えたのは16%だった。


むささびが面白いと思うのは「普通人」に対する信頼度の62%という数字です。聖職者・公務員・TVキャスターと同じくらいの信頼度であり、チャリティ関係、ビジネスマン、労組関係よりもかなり高い。普通人に対する信頼度が低くないということは英国人が他力本願でないということの表れなのではないか・・・というのは「ひいき目」なのかな?

もう一つ面白いのは「TVキャスター」に対する信頼度は決して低くないのに「ジャーナリスト」はほぼ常にワースト5に入っているということ。「TVキャスター」というのは、むささびが勝手につけた和製タイトルで、実際の調査では "News Reader" となっている。この数字によると、英国人はテレビカメラに向かってニュースを読む人の言うことは信頼するけれど、ジャーナリストが書くことは信用しないということになる。どういうこと?
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wine and dine

接待する
今から約6年前の2012年11月28日付のGuardianに、英国における原子力発電所の新規建設に関する記事が出ているのですが、その中に原発建設に関わるお役人たちが関連業界からタイヘンな接待攻めに合っているという記事があった。"Senior civil servants are extensively wined and dined by nuclear industry lobbyists."というわけです。記事には接待の場として使われたレストランやクラブなどの名前まで書かれている。

むささびはこの種の世界には全く縁がないけれど、例えばCinnamon Clubというロンドンのインド料理店のセットコースだと一人当たりワインつきで150ポンドとなっております。日本の金銭感覚からすると1万5000円というところですよね。個人レベルでは安いとは思わないけれど、企業の接待だとしたら大して高くもないのでは?Guardianの記事には、このような接待攻勢をかけている企業の中にGE Hitachiという名前もありました。確か最近のニュースでは日立は英国の原発事業からは撤退するとされていませんでしたっけ?
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XX

じゃあね
Facebookなどを見ていると、英国人がメッセージの末尾に"X"とか"XX"を付けているのを見受けますよね。"Merry Christmas and a happy new year to you and your family! XX"という具合です。"X"が小文字の場合もある。どうせたいした意味はないのだろうと思っていたのですが、本当に大したことなかった。「じゃあね」とか"bye-bye"と言う代わりに"X"という文字を使っているだけ・・・かと思ったらそうでない人もいるんですね(Quora 9/7/2015)。このサイトに出ていた英国人のコメントによると:
  • X:相手を良く知らないけれど礼儀として付ける
  • XX:好きな女性に対して
  • XXX+:多少いちゃつき気味
  • Xなし:相手を良く知らないか嫌なヤツと思っている
だそうです。ま、どうでもいいか。
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yawning

あくび
イヌは人間からあくびがうつるらしいですね。英国のロイヤル・ソサイエティのサイト掲載されている論文(Dogs catch human yawns)がそう言っています。ロイヤル・ソサイエティといえば1660年設立、現存する最も古い科学学会だからいい加減な情報は載せませんよね。論文は3人の動物行動学者が29頭のイヌを使って行なった実験を報告するものです。

見ず知らずのイヌと人間が5分間だけ一緒にいて、人間がイヌの名前を呼んで自分と目が合うたびにアクビをしたり、口をパクパクあけたりする動作を繰り返したところ、口パクには何の反応も示さなかったイヌ(29頭中21頭)が、アクビにはアクビで反応したとのことであります。論文によると、この実験で「イヌは人間とempathise(同じフィーリングを共有)する能力がある」ことが証明されたのだそうです。
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zero hour contracts

ゼロ時間契約
"Zero-hour contracts"というのは雇用主と被雇用者の間に勤務時間についての義務が存在しないような労働契約のこと。雇う側も雇われる側も「必要なときに」雇い雇われる。事前に事業主に登録しておいて、必要に応じて呼び出されて短期間の就労を行うというもの。良く言えば「フリーランス」で、雇われる側も自分の都合によって断ることもできる。「自由な関係」というと聞こえがいいけれど、大体においては働く側の身分保障が全くない雇用関係のことです。英国では飲食業(22%)・介護(20.2)・配達(17.6)が「ゼロ時間契約」による労働者が最も多い業界とされているけれど、待遇が社会問題になっていることもあって、飲食業界の大手、英国マクドナルドが同社の従業員約1万人を「ゼロ時間契約」から固定時間契約に切り替えることを発表したりしている。
英国統計局のサイトが2001年からこれまでの17年間における「ゼロ時間契約」による労働者の数を掲載しているのですが、それによると2001年には17万6000人であったものが、2017年には90万人を超えている。何故か2013年から急激に増加している。日本で「契約社員」だの「派遣社員」だのが話題になり始めたのはいつ頃でしたっけ?それ以前にも「日雇い労働者」というのは存在したのですよね。
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むささびの鳴き声
▼「どうでも英和辞書」を始めたのは138号(2008年6月8日)からだった。それから前号(413号)までに掲載した英語の数は561語。アルファベットは全部で26文字あるけれど、紹介した英語数が一番多いアルファベットは"S"の45回、一番少ないのは"X"でゼロ回、今回初めて載せました。

▼"middle class"の部分。今ではかなり様変わりしているのではないかと想像するのですが、英国では新聞を「高級紙」(quality papers)と「大衆紙」(popular papers)に分けて語ることが一般的だったですよね。Guardian, The Timesは前者であり、大衆紙の代表がThe Sunであるとされていた。高級紙は"middle class"が読者であり、大衆紙は"working class"に支えられている。で、普段は高級紙しか読まない人間が何かの事情で大衆紙も読むということはあり得るけれど、普段は大衆紙しか読まない人間が、たまに高級紙を読むということは「絶対にない」と、むささびの知り合いの英国人の記者が言っていました。

▼そのあたりが日本の新聞の世界とは違うのでしょう。日本では自宅で朝日や読売のような新聞を購読していても勤務先では日経を、通勤途中では日刊ゲンダイを読むことは異常でも何でもない。日本の新聞にはその意味で階級性のようなものはない。かつて読売新聞が自社のPRパンフレットで「読売は大衆的クォリティペーパーです」という趣旨のコピーを使っていたのを憶えています。「部数も最大、中身も高級」と謳っていたわけですが、その頃(今から20年ほど前)の日本は「真ん中」が大きくて、教育程度もそこそこ高さが保たれていたのですよね。

▼(話題を変えて)福岡県北九州市に本拠を置く「抱樸」というNPOは「ホームレスの自立支援」を目的として活動しています。理事長の奥田知志さんはキリスト教の牧師さんなのですが、「自立」の意味について「(他人との)関係において自らの存在意義を見出すこと」として次のように書いている。
  • 誰かのための「私」、私のための「あなた」という認識の中に人は生きる意味を見出す。
▼奥田さんはまた「ホームレスの過酷な現状を最も端的に表わす場面は死である」として「自立した者は、独りで死んではならない」と訴えます。ホ-ムレスの多くが亡くなると「無縁仏」になるのですが、奥田さんによるとホームレスの自立支援とは、無縁性との闘いである、と。ホームレスが「自分の家」を手に入れたとしても、人生の最期に待っているのが「孤独死」であるとするならば、その人は本当にホームレスを脱したことになるのか?ということです。

▼今年で87才のジャーナリスト、壱岐一郎さんは1987年以来「東方古代未来塾」という活動を続けているのですが、発行している「塾通信」が2019年初春号で109号迎えました。どのようにして作っているのか見当がつかないけれど、「むささび」と違うのは印刷物であるということです。B4二つ折りのようなサイズで平均8ページ。それを郵送してくれる。その意味でむささびと違ってお金がかかっている。

▼その壱岐さんが、韓国最高裁による「徴用工」判決について書いています。日本政府が「1965年の日韓基本条約で解決済みだ」といきり立っている、あのことです。「国家賠償とは別に個人賠償が合法だという説の可否を問う前に、植民地化36年の重みを見るべきだといいたい」と壱岐さんは言っている。1910年から1945年まで続いた「日韓併合」のことです。ウィキペディアによると「韓国併合ニ関スル条約」に基づいて大日本帝国が大韓帝国を併合して支配下に置いたという歴史的事実です。それだって「条約に基づいて行ったのだから合法だ、文句を言うな」とも言えるし、現にそのように主張して日本は朝鮮半島を植民地化したわけです。このことについてはまた別の機会にするけれど、日本の言い分は政府やメディアがキャンキャン吠えたてるほどには正当・正常なものではない(というのがむささびの直感です)。

▼これもジャーナリストの前澤猛さんからの情報ですが、戦前・戦中の政治犯や思想犯らが収監された中野刑務所(旧豊多摩刑務所)の建物で解体後も唯一残った「表門」を保存するかどうかの検討を東京都中野区が始めたのですが、これについて中野区の自民党議員団が「教育環境に悪影響である」として撤去することを呼びかけるチラシを区民の自宅(前澤さんも含む)に配布しているとのことです。前澤さんによると、この刑務所にはかつて大杉栄、小林多喜二、荒畑寒村、三木清、河上肇らの社会運動家が治安維持法違反に問われて収監された。それを「教育に良くない」という理由で「撤去しよう」と。中野区の自民党議員という人たちは何を考えているのか・・・このチラシを見て前澤さんは「唖然とした」と言っています。かつては中野区の住民であったむささびも唖然としています。ここをクリックすると、それに関連する朝日新聞の記事を読むことができますが、記事が「有料会員限定」なのだそうで、お金を払わないと全部は読めないことになっている。何を考えているのか、朝日新聞は!

▼関東地方は寒いけど快晴です。あと2か月もすれば蝋梅の花が咲くのでは?と期待しています。お元気で!


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むささびへの伝言