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美耶子の言い分
020 お母さん達のやり直し英語クラス

私が英語を教えている小学生の子供たちのお母さんから、英語をやりたいという声があがり、今年の7月から週一回母親の英語クラスをやることになった。それぞれの人に異なる英語歴と英語に対する興味の違いがあるので、全員の向学心を満たしてあげられる内容を果たして私が提供できるかどうか、少々ためらいもあったが「試み」としては非常に興味があったので、とにかくやり始めることに決めた。

日本人で英語に興味のある人は必ずといってよいくらい「会話をやりたい」と言うのだが、私には「会話」を教える技術が自分にあるとは思えない。母国語である日本語でさえ、「会話を教える」能力となると、いささか首をかしげてしまう。何をもってして「会話を教える」と言うのか分からないからだ。

自分自身の経験から考えても、会話力を身に付けるために会話だけをやってきたとは思えないことと、日常会話でよく使われる文というのは実は中学校の3年間で習うような簡単な文が多いということを、常々感じていたのでこの際中学の英語のテキストに焦点を当てて、もう一度学校時代とは違ったやり方でそれをやり直してみるというアプローチで試みることにした。

違ったやり方と言うのは、

1)教科書の文をモデルに日常生活の場面で使いそうな文をなるべく沢山作って(いわゆる英作文の訓練である)実際に声を出して言ってみること。

2)とにかくやっていて楽しいものにすること(学校の英語の時間にはないentertainmentの要素を重視)。

3)日本語を媒介語として多いに利用すること(但し訳語としてではない)。

4)今の自分の実力より少し上のある程度まとまった英文を耳で聞いて把握する訓練(dictationを含む)をすること。

今のところこの四つである。 日本の中学・高校の英語の時間では、習った構文を使った自由英作文を生徒に一体どれ程やらせているだろうか、、。おそらくほとんどゼロではないかと思う。これでは習ったものを使いこなせるようになる筈が無い。日本語を活用した練習法というのは、コミュニケーションの立場で考えてみると分かるのだが、海外生活の体験を持たない普通の日本人の場合、頭の中は当然日本語のコミュニケーション・モードになっている。

英語の文章を一つ一つ覚えていても、母語話者のように実際のコミュニケーションの場で適切に発話していくスピード感覚はなかなか身に付くものではない。会話のキャッチボール感覚は「母語である日本語をヒントに」進めていく方が、遥かに身に付くように思う。

聴解トレーニングについては、想像力や集中力の訓練もしながら自分の未知の単語や用法に気付くチャンスを与えてくれるので、学習効果は大きい筈だ。 このような私独自の四輪駆動(?)的なやり方で、お母さん達の英語力にどんな変化が見られるか。少なくとも中学・高校と6年間も英語を教わった経験がある彼女達に、それを少しでも使えるようになったという実感を是非味わってもらえればと願いながら走り出したところである。