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美耶子の言い分
015 「の」の使い方

本題に入る前に、前回取り上げた「・・・と思います」と「・・・と思っています」の使い分けで、英語話者の日本語学習者に尋ねた結果を報告しておきたいと思う。案の定、I thinkもHe thinksも「・・・と思います」で訳してしまった。やっぱり難しいようだ。 そっくり紹介してみよう。I think he will go to school tomorrow.を「(私は)彼が明日学校へ行くと思います」に、He thinks he will go to school tomorrow.を「彼は(彼が)明日学校へ行くと思います」という日本語に直したのだ。何故か自分のことにも第三者にも仕える「・・・と思っています」の方を使わなかった。

因みにこの学習者が使っている教科書では、「・・・と思います」を先に教わるようになっていて、その10課後に「・・・と思っています」が出てくるのだが、例によってこの業界(?)では「紛らわしいものは同時に教えない」というのが鉄則のようで、「・・・と思います」が出て来た時点で「・・・と思っています」との比較も説明も一切しないのだ。私にはこのような鉄則がかえって学習者には不親切で裏目に出てしまうことがあるのではないかという気がする。紛らわしいからこそ同時に教えておくという姿勢もまんざら間違いではないのではないか・・・と。

ついでに上の学習者の日本文でも気付くことだが、よくある問題点として、ひとつの文章の中に「は」は二度使ってはいけないと思い込んでいる節があるということも、教える立場の者としては気を付けなければいけない。

さて本題に入ろう。ある学習者に「の」の使い方を説明した時、日本語には英語と違い「大きいもの+の+小さいもの」という結び付け方をする傾向がある、その例として、「大使館の春海」とか「埼玉県の飯能市」などの言い方をする、と説明した。すると「地下鉄の新宿駅」と「新宿駅の地下鉄」のどちらを使えば日本人には自然なのかと質問された。

「の」には大小の並びだけでなく、話し手にとってより重要なものを前に置くという使い方もあることも当然説明しておいたので、この学習者は混乱してしまったらしい。たった一文字の「の」なのに、これを解説するのは難しかった!

文末に付く「の」についても、おそらく外国人にはかなり難しいのではないかと推察する。例えば、「この人はそこへ行きたいの(!)」の「の」と「この人はそこへ行きたいの(?)」の「の」とでは、書き言葉だとカッコの中のマークがなければ日本人にも区別がつかない。話し言葉では普通は疑問文の文末は上げて言うので、他人が言うのを聞く分には大して問題ないと思うが、果たして外国人にその上がり方を日本人に分かるように言えるか、となると案外簡単ではないようだ。日本語のイントネーションは実に微妙であることも、日本語を教えてみて気がついたことのひとつである。例えば「そうですか」「そうなの」の言い方なんかも外国人にはなかなか難しい。