むささびの鳴き声
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新聞の存在価値
2004年10月31日

速報性・臨場感ではテレビに負け、知的刺激メディアとしては掘り下げた記事が多い雑誌に負け、手軽さ・速報性ではインターネットには遠く及ばない・・・というわけで新聞には昔のような「報道界の王様」というステータスはないかもしれません。しかし新潟中越地震の被災地からの中継でテレビのレポーターが「避難所では配られた新聞を食い入るように読んでいる被災者の姿が・・・」とコメントするのを聞いていて、新聞というメディアの性格を突いているような気がしました。

おそらくその被災者が「食い入るように」読んでいたのは震災についての記事でしょう。それを何度も何度も繰り返し読んでいたのではないか。そうすることで自分の震災体験を自分の頭の中で確認したり、考えたりしていたのでは?テレビの視聴者にはこれができない。ただ移り変わる画面を、頭をカラにして見つめるだけ。全く受身の一方通行です。だからテレビのニュースというのは、見ていて分かったような気がするけれど、実は何も分かっていないという体験が非常に多い。

先日、池袋で新聞の「号外」なるものを初めて手にしました。地震の山崩れで車ごと生き埋めになってしまった母子の一人が救出されたことについてのものでした。池袋の駅前には普段から茶髪だの何だのという(私などには)得体の知れない若者がたむろしています。その彼らが「号外」を手にして「えーっ、助かったんだ、良かったジャン・・・ねぇ」などと言っておりました。あれも新聞のなせる業ですね。