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むささびの鳴き声
083 地方大学出で高級官僚は無理?

厚労省の元局長であった村木厚子という人が逮捕されていろいろな罪に問われた挙句、結局大阪地裁によって無罪の判決が言い渡されたという事件について、かつて朝日新聞の記者をしていた大熊由紀子さんは、ご自身のサイトで「検察のリークを信じたメディア」について「冤罪とメディア」というコーナーで報告されています。

「検察によるリーク」を信じるメディア報道は確かにひどいと思うし、おそらく村木厚子さんの場合も、逮捕された当座は犯人扱いするような記事が掲載されたのでしょうね。2009年6月16日の産経新聞のサイトには「全面否認している村木容疑者の“外堀”はすでに埋められた格好だ」と、まるで「黙ってお縄をちょうだいしろ!」とでも言いたげな記事が掲載されています。たぶん他紙も似たような報道をしていたのであろうと想像します。

産経のような主要メディアによる誤りもひどいけれど、今はインターネット時代で必ずしも昔ほど新聞が読まれているわけではないですね。今回、村木厚子さんについてインターネットの世界ではどのようなことが語られていたのでしょうか?やみくもにグーグルを当たってみたら評論家・八幡和郎という人が主宰しているブログがあって「村木厚子 厚生労働省局長逮捕の深層」というエッセイが掲載されておりました。

このエッセイは、村木さんの事件そのものよりも、彼女の逮捕を契機に「我が国の官僚育成制度に係る根本問題がある」ことを訴えることを目的として書かれています。八幡さんという人は1951年生まれだから私より10才若い。東京大学法学部卒業後、通商産業省に入省。現在は「実際の行政の実情と経験から問題点を指摘できる数少ない論客員として、テレビの対談番組への出演や本の出版など、幅広く活動」しているのだそうです。

彼によると、日本の帝国大学法学部はフランスの国立行政学院に近い存在として明治時代に構想されたものだそうで、ご自身の出身である「東京大学法学部の教育は、その伝統を受け継ぎ、公務員としてのものの考え方をたたき込む機能をもっている」とのことであります。そして村木厚子さんについては次のように語っています。

今回の村木局長は、地方大学の経済学部出身だが、そういう条件で上級職試験を通り、現在の地位を築いたのは尊敬に値するが、一方で、「法の精神(リーガル・マインド)とか「行政官としての矜持」を学ぶ機会に不足していた可能性が強い。そういう意味では、制度的欠陥の犠牲者だったのかもしれない。

つまり「地方大学出にしてはやるじゃないか。でもやっぱり東大出とは違う。リーガルマインドが身についていないのは、アンタが悪いんじゃない。地方大学出で高級官僚になろうってのがもともと無理だったということだ」と言っているのですね。ひょっとすると、大阪地検の検事さんも東大出のリーガル・マインドばっちりの人だったのかもしれない。[2010/9/12]

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