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015 フィンランド体験

先日、東京の国連大学で日本とフィンランドの専門家が集まって「男女平等社会」についてのシンポジウムを開きました。そのために6人もの専門家がフィンランドからやってきたのですが、過去約1年間フィンランドという国やフィンランド人という人々とお付き合いをしてみて、やはりこの国はタダ者ではないという気がしていますね。

そもそも、この種のシンポジウムを開くために本国からこれだけの人たちを派遣する(旅費はフィンランド・サイドが持ったようです)ということ自体がスゴイです。あえてどこの国とはいいませんが、世の中には「オレたちの話を聴きたければ、金を払え」という態度のところも多分あるのではないかと思いますし・・・。

私の贔屓目なのかもしれないけれど、フィンランドという国はマジメに「対話」を求めているように思えるのですよ。先生みたいな顔をして「教え」をたれるのではなくて、です。私とフィンランドという国のお付き合いも殆ど終わりです。失礼ながら人口500万という小さな国の割には、デザイン、情報技術、健康食品、福祉制度など、本当にいろいろやっていますね。目立たないけど面白い国です。

で、男女平等シンポジウムですが、6人の参加者の中にお医者さんで社民党議員という人がいて、この人は開口一番「フィンランドが男女平等で社会福祉の行き届いた国、というのを簡単に信用しない方がいい」と言って、いろいろ実例を挙げてこの国の問題点を語りました。私も考え込んでしまったのは、離婚率の50%という数字と「福祉国家」の関係です。この国会議員によると、イチバン惨めなのは「離婚された男性の一人暮らし」なんだそうです。アルコール依存症、自殺などの率が最も高いのがこの人たちだとかで、公営住宅にしても「家族」を想定したものは数多く建設されるのに、独り者が住めるようなものは殆どないのだそうです。

もう一つ面白かったのは「新しい父親像」というタイトルのスピーチ。フィンランドでは女性の出産・育児休暇はもちろんですが、男の育児休暇(paternal leave)も認められていて、育児を男女平等に行うように奨励されているとのことでした。会場にいた日本の企業関係者が「男の育児休暇なんて日本では考えられない・・・」という趣旨の発言をしたのに対して、フィンランドの専門家の意見としては「子供と長い時間を過ごしたり、育児の経験を持つ男は性格的にも幅が広く、企業にとっても貴重な人材になりうる」とのことでした。

なるほど・・・。 日本の場合、育児どころか有給休暇もまともにとらない人の方が多いのですよね。これ、私が思うには、日本のような無宗教社会では、「規律」らしきものの役割を果たすのが「世間様の眼」しかないので、有給休暇も「周りの目」を勝手に気にしてとらないということなのではありませんか?フィンランドではルーテル派のキリスト教が精神的にも大きな力を持っていて、「一生懸命働くのはいいことだ」という労働感覚は根強くあるそうなのですが、それと育児休暇は別物のようです。それからもちろんフィンランドにもワーカホリックはいるそうです。特に最近はやりのハイテク産業などには多いそうです

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