第10号 2003年6月29日
home backnumbers むささびの鳴き声 美耶子のコラム
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1)ヨーロッパ正直度調査
2)運転中の携帯電話は罰金
3)速度違反の言い訳
4)結婚式が派手になる…
5)お茶にも健康志向
6)人馬の駆けっこ
7)エキセントリック・マラソン
8)むささびJの受売りフィンランド:首相が辞任
9)むささびMの<年上の妹と年下の兄?>
10)編集後記
1. ヨーロッパ正直度調査

Reader's Digestという雑誌がヨーロッパで行った調査によると英国人は列車や電車のただ乗りには罪悪感を感じないけれど、道端で財布を拾ったら警察に届けるべきであると信じているとのことです。つまり自分達よりも大きなものや強いものを欺くことは構わないと思っているふしがある(と同誌の編集長が語っています)。英国人が「たいしたことない」と思っている事柄として「会社のものを盗むこと」「税金逃れのために収入を隠すこと」「高速道路で制限速度を守らないこと」。その一方で「それをやっちゃまずい」と思っている例としては飲酒運転が挙げられます。具体的に人を傷つける恐れがあるからです。

「奥さん(旦那さん)がアンタをだましている」ということを友人に告げないことも悪いことであると考えているそうです。クルマの制限速度ですがオーストリア人の64%が「守らない」と答えているそうです(ヨーロッパ平均は39%)。電車のただ乗りについては英国人65%が「構わない」としている(ヨーロッパ平均は53%)のですが、ロシア人となると80%がハッピーなんだとか。ホテルのタオルを盗むことについてヨーロッパ人の16%が「やっちゃう」としているのに対して、英国人の場合はこれが30%に上がっています。タオルくらいどうってことないですよね。私の知っている英国人は「ホテルで貰った」という浴衣を沢山持っていました。

2. 運転中の携帯電話は罰金

英国の道路交通法の改正によって今年の12月1日から車を運転しながら携帯電話を使うと最低30ポンド、最高1000ポンドの罰金刑に処せられます。それだけではない、違反すると免許のマイナス3ポイントが付けられるそうです。マイナスポイントが12になると免許取消しという厳しい現実が待っています。デイビッド・ジェイミソン道路安全担当大臣(そんな大臣がいるんですか?)によると「運転中に携帯で話をしている人が交通事故を起こす確率は普通に運転している場合の4倍」だそうです。

尤も今回の法改正は「手持ち携帯電話」に限って適用されるもので、ハンドフリーの固定電話には適用されないということで「生ぬるい」という声もあります。交通事故防止協会では、携帯がもとで事故を起こした例は「数限りなくある」としており、少なくとも20件の死亡事故が記録されていると言います。「運転中に電話で話しをすること自体が危険な行為。過去の死亡事故にはハンドフリーの携帯の場合が2件ある」と指摘、携帯メーカーが法改正を機にハンドフリーの電話を売り込むことの可能性を懸念しています。

この点について携帯電話運営会社のヴォーダフォンでは「ハンドフリーが法律違反でないからと言って、安全だというわけではない」とコメントしています。

3. 速度違反の言い訳


スタッフォードシャーという地域で町議会議員をしているロバート・マーシャル氏が最近、車の速度違反で罰金を食らった。制限速度30マイル(約48キロ)のところを42マイル(67キロ)で走っていたところを移動監視カメラに捕まったのですが、実は彼は2ヶ月前にもスピード違反をやったことがあり、それぞれに40ポンド(大体7200円)の罰金を払うことになった。ちなみにスピード違反の場合は罰金以外にマイナス3ポイントが付いてしまうのだそうです。つまり2回やったのでマイナス6ポイントということ。

で、これから3年間でマイナスポイントが12を超えない場合はこれを消してくれますが、超えてしまうと免許取り消し。マーシャル議員は「3年間は無事に過ごさなきゃ」と意を決しているそうです。が、そもそも彼の速度違反を「摘発」した監視カメラはマーシャル議員本人が地元議会に勧めて設置させたものだったらしい。「このカメラで違反が摘発されるようになれば皆も違反をしなくなるだろう」と自分の違反はそっちのけにしてカメラを設置したことの正しさだけを主張しいているようです。

4. 結婚式が派手になる…


英国において結婚するカプルの数が年々減っているそうです。1990年には31万1000組のカプルが結婚したのに対して2001年の場合は25万組。結婚という行為が「時代遅れ」のように扱われている傾向に合わせる(?)かのように目だっているのが結婚式が年々豪華なものになっているということ。結婚式費用の変化を見ると過去5年間で約1万ポンドから1万5000ポンドにまで上がっているというのがYou and Your Weddingなる機関が調べた数字。

費用の内訳はというと式そのものではなくて、靴とか宝石などのような「どうでもいいもの(frivolities)」への出費が極めて大きいのだそうです。こうした傾向にはいろいろな理由があるのですが、おそらく一番大きなものは結婚年齢の高齢化にあるとThe Economistが主張しています。初婚の平均年齢は男が29・7才で女は27・7才。「かつて中流階級の女性はキャリアウーマンとなるために出産を遅らせたものだが、今では結婚そのものを遅らせる傾向にある」と報告し、さらにある大学教授のコメントとして「派手な結婚式をやることが自分たちの世間における価値が上がると考えている」と付け加えています。

5. お茶にも健康志向


英国人が一年間で飲む紅茶は一人当たり平均1000カップ。つまり一日約3杯ということですね。私個人は殆ど紅茶は飲まないのですが、コーヒーとか日本茶なら一日3杯どころではないと思います。「あんたは飲みすぎ。何事にもホドホドということを知らない」といつも奥さんに怒られています。とにかく一日3杯というのは普通ですね。

尤もDatamonitorという市場調査会社の調査によると、英国におけるティーバッグ(紅茶)の売れ行きがここ5年間で10%も落ちているのだそうです。これに代わって受けているのがハーブティー。健康飲料として人気があるということです。さらに最近はアイスティーの人気が高まっていて、年間4200万缶も売れるとか。私の場合は喫茶店で飲むアイスティーは悪くないと思いますが、缶入りのあれはどうも…。ところで英国人は世界で二番目に紅茶の好きな国民なんだそうです。一番はどこか分ります?トルコなんだそうです。

6. 人馬の駆けっこ


6月7日、ウェールズのポウィズ(発音はこれでいいのでしょうか?Powysというスペルです)にあるLlanwrtyd(どう読めってんだ!) Wellsという村で馬と人間のカケッコが行われて馬が勝った…というと実に当たり前なんですが、少し詳細に報告してみます。競走距離は22マイル(大体34キロ)、参加者は馬が30頭、人間が400人。馬が勝ったのですが、どれくらいかかったと思います?2時間2分だったそうです。で、負けた人間の中でも最高の成績だったのランカシャー出身の海兵隊員(イラク帰り)だったのですが、彼の記録が2時間17分。馬と大して変わらない!?でもこの人38才というのだからスゴイですね。因みにこの過酷な?レースはここ20年ほど1年に1回行われていて、人間が勝ったらあげる1000ポンド(約18万?)の賞金が積もり積もって2万5000ポンドにまでなっている。賭け屋のWilliam Hillsによる掛け率は25倍だそうです。

7. エキセントリック・マラソン

もう一つ走りの話題ですが、こちらはスコットランドのエディンバラでのマラソン大会。深海作業の時に使う潜水服(重さ6キロ)を身につけたまま走った41才が記録したのが6日と4時間30分56秒。世界でも最も遅いマラソン記録らしい。ロンドン在住で3人の子持ちのロイド・スコット氏がその人で、チャリティ目的の超過酷なマラソンランナーとしてロンドンやニューヨークの大会にも参加しているのであります。

彼の場合、ほかの選手よりも1週間ほど前に出発したのでゴールする頃には普通のランナーといい勝負であったとのこと。1時間で1.6km、一日平均9時間歩いたのですが、ロンドンやニューヨークでの記録よりも悪かった。その理由は食あたり。「しょっちゅうトイレに飛び込まなければならず、時間を食ってしまった。ロイヤルヨットのブリタニア号でもトイレを借りたのだが、潜水服を脱ぐ前に漏らしちゃって…」と汚いコメントまで発表しております。

それでも懲りない人らしく、今年末までには潜水用具を身に着けてネス湖の底を歩くマラソンに挑戦するほか、来年のエディンバラ・マラソンには中世の武士が身につけた鎧兜を着て走るんだそうです。

8)むささびJの受売りフィンランド:首相が辞任

日本の新聞にも出ていましたが、フィンランドのアネリ・ヤーテルマキ首相が辞任しました。フィンランドの場合、大統領と首相がいて二人とも女性ということで話題になったものでした。この原稿を書いている時点では後任が決まっていないので分かりませんが、結局大統領は女性、首相は男性ということになるのかも知れません。

彼女は今年の3月の総選挙で勝利したやや中央党の党首であったのですが、選挙の時点のフィンランドは社民党を中心にした連立政権で、彼女は野党の党首という立場にあった。争点の一つにアメリカのイラク政策についてフィンランドはどのような態度で臨むのかということがあった。選挙運動とか討論会などの場においてヤーテルマキ中央党党首は、当時の社民党政権が極めてアメリカ寄りであるとしてリッポネン首相(社民党党首)の政策を批判、これが選挙の結果を左右するポイントになってしまった。

その批判の根拠となったのが昨年秋にワシントンで行われたリッポネン・ブッシュ会談において、リッポネン首相が「アメリカの政策を支持する」というニュアンスの発言をしたということで、これをヤーテルマキ党首がリッポネン攻撃の材料とした。 リッポネン・ブッシュ会談の中身を記録したフィンランド外務省の秘密文書が報道関係者にリーク(漏洩)され、そのリーク事件にヤーテルマキ党首が絡んでいたのではないかという疑惑が持ち上がった。実はヤーテルマキ党首自身が、リッポネン政権の幹部に対してその秘密文書を自分に送るように頼み込んだのではないかという疑惑もある。

ヤーテルマキ首相はその秘密文書を入手したことは認めながらも、これを自分が政府幹部に頼み込んで入手したことは否定。「頼みもしないのに私のところに送られてきた」と主張していたのですが、その政府幹部が「ヤーテルマキに頼まれた」と報道関係に証言するに及んで、ヤーテルマキ首相が連立を組んでいる社民党はもとより彼女自身の党である中央党の内部からも「信用できない」という声が強くなったことで、首相が大統領に辞意を伝え、大統領もこれを了承したというわけです。

正直言って、私には何故彼女が辞任しなければならないのか、どうもよく分からなかったのです。野党の党首が外務省の秘密文書を入手する(あるいは入手しようと試みる)ことのどこが悪いのでしょうか?フィンランド大使館の人に聞いてみたところ「政府の人間を通じて入手しようと試みること自体が違法」とのことでした。フィンランドのある若者(女性)は「首相が女だから、男たちに追い込まれたのよ。これが男だったら間違いなく表沙汰にならずに済んでいたわ」とのこと。「しかしフィンランドという国は男女平等で女性の力が強いと言われてるのでは?」「言われてるのよね。確かに普通の職場とか家庭生活などではそうかもしれないけれど会社の幹部とか政府の偉い人などの世界は未だに男社会よ」とのことでありました。

Transparency Internationalという国際組織があって、政治的な「汚職度」の国際調査をやっているのですが、昨年の調査によるとフィンランドは汚職度が一番低い国であったそうです。政治プロセスの透明度(transparency)ナンバーワンというわけです。ヤーテルマキ首相の辞任は金銭が絡んだわけではないので、汚職が理由ではありませんが、それでも政治的なスキャンダルであることは間違いない。大使館の人は「これでフィンランドのクリーンなイメージにキズがつくのでは」と心配していましたが、私は「つまりフィンランドにもその種のことがあるってことですね。安心しました。アナタの国にも日本と少しは共通項があるってことなんだから」というのが私のコメント。冗談のニュアンスもありますが、ちょっぴりマジメでもあります。

何せ日本の新聞に登場するフィンランドというと「教育レベル世界一」「情報化社会世界一」「生産性世界一」「水質世界一」「社会福祉と男女平等の先進国」「政治的透明度ナンバーワン」…いくら何でもできすぎってもんだ。こういう国や人間と付き合っていると自分が惨めになる!?少しは落ち度ってものがあってもよろしいのでは?ということです。


9)むささびMの<年上の妹と年下の兄?>

日本語に微妙な表現が多いのは、日本人の心が微妙で複雑だからなのだろうか。 英語では女のきょうだいはsister、男のきょうだいはbrotherである。年上、年下を敢えてハッキリさせたい時には、elderとかyoungerを確かに使うけれど、大抵の場合、英語話者はどちらの場合でも、ただmy sister、my brotherと言うことの方が多いような気がする。一方、よくよく考えてみると英語のsister、brotherにあたる年上も年下も一緒くたにした言葉が、そもそも日本語にはないのだ。

ところが日本語は「きょうだい」の場合には男女を一緒くたにして使うという極端なところもある。「ご兄弟は何人ですか?」というのは、女のきょうだいのことも含めて聞いているのだ。しかも、この場合「ご姉妹は何人ですか?」とは絶対に言わない、という文化が日本語にはある。 私自身、実は「年上の妹」がいるのだ。彼女の立場から言うと私は「年下の姉」ということになる。主人と結婚したことによって、主人の妹であるその人は、私より年上であっても「妹」ということになるのだ、と極自然に受け止めたのだが、こういう場合、彼女は何故私の「姉(elder sister)」にはならないのか、、、。

英語ではこのような場合、elder sisterと言うのだろうか、younger sisterと言うのだろうか?。それとも、長ったらしくmy elder younger-sister-in-lawなどと言うのだろうか、、、。 最近の日本は昔に比べて年上の女性と結婚する男性が増えたように思うのだが、それによって生じる複雑な日本語文化にまたまた気付かされた。それは、結婚によって生ずる兄弟・姉妹の関係は「夫」、つまり男性の家族関係が基準になっているということで起こる複雑さだ。

女性は結婚によって、普通は姓を夫の姓に変えるので、当たり前と言えば当たり前ではあるが、呼び方として、妻が夫の兄である「年下の兄」を「お兄さん」と呼ぶのは良いとして(家族の呼び方については年少者の立場、この場合は年少者である夫を基準にした呼び方が日本語の習慣だそうだ)、そう呼ばれた「年下の兄」は弟の妻である「自分より年上の女性」を、「妹」と考える事に抵抗はないのだろうか、、、と考えたら、「義理の妹」「弟の嫁さん」などという実年齢の上下を感じさせない言い方を使うという手が、日本語にはあった。

因みに、私の教えているカナダ人とタイ人に尋ねてみたら、英語では年齢の上下には触れずにただsister, brotherとだけ言うのが普通だそうで、タイ語では日本語と同じように兄、弟、姉、妹に当たる言葉が独立して存在するが、通常、外に対しては実年齢より家族関係の言い方を優先させるとのことであった。

10)編集後記
●むささびジャーナルも創刊10号を迎えました。文句も言わずにお付き合いを頂き本当に有難うございまず●ところで何故このメールが「むささびジャーナル」という名前なのか、お分かりですか?かつて私の友人が私の顔をしみじみ眺めて「お前、むささびに似ているな」と呟いた。40年も前のことです。暗い洞穴の中からそっと世間を見ている、あの顔つきが似ているというわけです。はっきり言って嬉しくはありませんでした●が、私の奥さんが別の意味を見つけてくれました。「むささびと言えば木と木の間を飛び回る。アンタもこれから日本中に植わっているイングリッシュオークの間を飛び回るんだから」…と言われて直ぐに機嫌を直して飛びついてしまう。気楽というか軽率というか●「むささび」は英語でflying squirrel・・・飛ぶリスです。気楽に軽率に、どこまで飛び続けるのか、よく分かりませんが、よろしくお付き合い下さい。