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musasabi journal 64
7 August 2005

言ってみても始まらないけれど、この暑さはなんだ・・・ということをここ5-6年は言っているような気がしますね。最近では通勤にコウモリ傘をさして行きます。日除けです。帽子よりも効果的であることは間違いない。かんかん照りの空の下を黒いコウモリ傘をさして歩くというのも変な気分ですが。そういえば英国のロビン・クック元外相が急死したそうです。山登りの最中に心臓麻痺を起したのだとか。59歳だったそうです。

@ロンドンの終戦60周年シンポジウム
A行いのいい子にクレジット!?
B世界のパワフル女性100人
C恥ずかしながら、今さら・・・おさらい「北アイルランド」
D短信
E編集後記

 

 

@ロンドンの終戦60周年シンポジウム


忘れないうちにお知らせしておきますが、9月7日、ロンドンのCabinet War Roomsというところで、終戦60周年の記念事業として'Enemy and Friend - Britain and Japan at War and Peace' というシンポジウムが開かれるそうです。主催はBurma Campaign Society(BCS)という組織。BCSは2002年に出来た組織で第二世界大戦中の英国と日本の「遭遇」(encounter)についての理解を深めることを目的としているそうです。

9月7日のシンポジウムは昼食だのコーヒーブレイクだのを含めて、何と午前10時半から午後7時ごろまで3部に分かれていろいろなディスカッションが行われるようです。参加者は英国と日本の学者や「和解」活動の関係者です。むささびジャーナルの読者で、英国にいるか、丁度その頃に英国に行くかもしれない人で、なおかつこの手の問題に関心がおありの方(となると余りいないか!?)、特にメディア関係者は是非ご注目を。

連絡先はBCS事務局のPhillid Purvisという人です。よろしく。

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A行いのいい子にクレジット?


英国政府2008年から導入しようとしている、青少年の非行防止対策にOpportunity Cardなるものがあるそうです。クレジットカードなのですが、12ポンド(約2400円)相当のカードだそうで、13歳から19歳までの青少年に与えられる。The Economistによるとボランティア活動をやったりするとこれがもっと増えることもあるけれど、非行に走ると減額もあるのだそうで、要するに「いい子にしてたら小遣いあげるからね」という、あれですね。

The Economistが苦々しげに伝えるところによると、この制度導入のために政府が行った調査によると「何もしないこと」(inactivity)と「非行」(misbehavior)の間には相関関係(日本語で言うと小人閑居して不善を為す!?)があるというわけで、地元のスポーツセンターで汗を流したり、音楽や芸術に精を出したりすることで、若者たちに「生き甲斐」(sense of purpose)を持たせることができるということのようであります。

The Economistはこの計画について極めて批判的で「良いことをするインセンティブをお金にするとgoodwillというものが純粋でなくなるし、コミュニティ精神も育たない」と極めて尤もなことを言っています。笑ってしまうのはクレジットをもらえる「いい行い」の中に「学校ずる休みしないこと」(attending classes regularly)というのがあることで、この点についても「学校へ行くのは当り前で、世界には行きたくても行けない子供もいる。学校に魅力がなくてずる休みするというのであれば、学校を魅力的な場にすることを考えるべき」と文句を言っています。当然ですね。

The Economistはこの計画を「おせっかい(interventionist)政府の考えそうなこと」だとして、最悪の場合、成人にまで適用され、政府の考える「良い行い」(ヘルシーフードを食べる・禁煙する・甘いものを食べ過ぎない・子供に本を読んであげるetc)をする親は沢山のクレジットが貰え、そうでないヤツは減らされる。確かに気持ち悪いですよね。

政府のご機嫌をとらなければ使えないOpportunity Cardは「クレジット」であって本当のお金ではない。自由経済の下では、お金というのは、好きな時に・好きな場所で・好きなように使うからお金なわけです。The Economistによると19世紀の英国にはtruckなる一種の物々交換の習慣があったのだそうです。工場経営者が労働者にホンモノのお金ではなく、tokenで給料を払い、それを使って工場内の売店でモノと交換するというシステム。労働者に悪評で廃止されたそうですが、それを「労働党政府が青少年のために持ち出すのは不思議な話だ」(It is odd that a Labour government should be introducing a similar scheme for young people)と皮肉っています。

  • The Economistに言われるまでもなく気持ち悪いアイデアですよね。何考えてんだろ!?

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B世界のパワフル女性100人

最近のForbes誌のサイトによると「世界で最もパワフルな女性100名」のトップは、お分かりですよね、米国のライス国務長官です。3番目はウクライナの首相でユリア・ティモシェンコという人。で、2番目は誰でしょうか?Yi Wuという中国の副首相。この人、確か漢字では呉儀という名前でしたよね。日本へ来て小泉さんとの会談を中止して帰国してしまった人。なぜこの人が世界で2番目に「パワフル」な女性なのでしょうか?Forbes誌のいう「パワフル」の定義は「メディアに登場する回数が多い」「経済的なインパクトが大きい」なのだそうです。ライスさんは当然でしょうね。中国の「鉄の女」と言われる呉儀さんは中国という国が持つ「経済的なインパクト」のことなのでしょうか?

で、パワフル女性100人の中に英国人女性は4人入っているそうであります。英国女性としてのトップは「ハリーポッター」の作者、JKロウリングさんで、全体では40位。次いでチェリー・ブレア英国首相夫人。この人は昨年12位だったのが何故か50ダウンの62位だそうです。それからRose Marie Bravoなる人物が63位。このヒト誰だっけ?と思ったら、あの服装メーカー、バーバリーの社長さんだった。これで3人です。4人目は誰かというと、エリザベス女王で75位であります。

中国の「鉄の女」がパワフルなら、英国の鉄の女(つまりマーガレット・サッチャー元首相)はどうなのかというと100位以内には入っていない。昨年までは何と21位に君臨していたのに・・・。それから日本人はただ一人、スーパーのダイエーの林文子会長が66位で入っています。

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C恥ずかしながら、今さら・・・おさらい「北アイルランド」


去る7月28日、IRA(アイルランド共和国軍)が武装闘争の停止を宣言しました。私の英国人の友人は、7月7日のテロとのからみでAt least the IRA have agreed to decommission their arms today, so we must be thankful for thatというメールをくれました。考えてみると英国にはイスラム以前にIRAのテロという問題があったわけで、その意味ではアメリカ以上にテロには備えがあったのかもしれない。

IRAのテロはなくなったかもしれないけれど、北アイルランドはアイルランドに帰属すべしという考え方そのものが消えたわけではないし、あくまでも英国にとどまるべしという人々との対立はこれからも続くわけです。この際、北アイルランド問題について一夜漬けでおさらいしてみました。皆様ご存知のことばかりかもしれないのであえて恥を偲んでお伝えしておきます。

北アイルランド問題には(The Economistの表現を借りると)500年を越える長い血まみれの(long and bloody)歴史があります。1688年に英国で名誉革命なるものが起こり、オレンジ公ウィリアム王子という人がキングになったとき、これと対立していたカソリック教徒のジェームズ2世という人物がアイルランドへ逃げのびた。しかしこれを追いかけてきたウィリアム王子(プロテスタント)が1690年にジェームズ2世とカソリック軍を破り、アイルランドを支配下に置いてしまった。

1707年にScotland の議会がEnglandやWalesの議会と一緒になってUnited Kingdom of Great Britainが誕生したのですが、その頃、Irelandの議会はまだ自治権を持っていた。それが1800年になって閉鎖され、アイルランドは英国に併合されてUnited Kingdom of Great Britain and Irelandという国が生まれた。日本でいうと江戸時代が終わりにさしかかるころですね。

それから116年後の1916年にアイルランドで対英独立を叫んでEaster Risingという暴動が起こり、1920年に英国政府によってアイルランドがプロテスタントの多い北とカソリック中心の南に分割された。2年後の1922年に南がアイルランド自由国(Irish Free State)として英国から独立、プロテスタント中心の北部は英国に残ることになる。BBCのサイトによると「これ以後、北アイルランドにおける少数派であるカソリック教徒やアイルランド・ナショナリストに対する組織的な差別が始まった」となっています。正式なアイルランド共和国(Republic of Ireland)が生まれるのは第二次世界大戦後の1947年のことです。

BBCのサイトのいわゆる「組織的な差別」の中には地方議会の選挙権も含まれます。また上野格という専門家によると、当時の北アイルランドでは、選挙権は地方税の納税者に限られていたのですが、プロテスタント住民には資産家が多く、その分だけ選挙権も沢山与えられたのに、カソリック系住民については貧しさ故に殆ど選挙権が与えられないという状態であったそうです。現在の北アイルランド紛争は、この前近代的な選挙制度を改革する運動(1968年)が発端となっています。IRAが誕生したのもこの頃のことで、事態を沈静化しようとした英国政府が1969年に軍隊を派遣するなどして、事態はますます深刻化した。1972年に英国政府による北アイルランドの直接統治が始まります。

今から20年前の1985年、英国・アイルランド合意(Anglo-Irish Agreement)なるものが結ばれて、北アイルランド問題にアイルランド共和国も係わるようになります。しかし紛争そのものは収まらず暴力は英国本土でも起こるようになった。1970年代初めからこれまでの30年間、テロ(IRA だけとは限らない)や暴力による死者は3600人を超えているのだそうです。

1998年春にGood Friday Agreementなる協定が関係組織の間で成立します。北アイルランドは将来も英国に帰属すべしとするプロテスタント、アイルランド共和国への帰属を望むカソリックの両者の代表によって権力をシェアする地方政府を作ろうとする協定です。これにはIRAの政治組織であるシンフェインも、暴力を否定するという条件で、参加が許されたのですが、これが実現することなく、2002年になってこの地方政府は棚上げにされて現在に至っているわけです。

IRAの武装闘争停止宣言についてブレア政府は大いに歓迎するというコメントを発表しているわけですが、北アイルランドの強硬派プロテスタント・グループなどは「歓迎するのは早すぎる」と言っています。北アイルランドの主な新聞には、Nationalist(つまりアイルランド共和国への帰属を望む)が主に読んでいるIrish Newsと(英国の一部として存在し続けることを望む)ロイヤリスト系のNewsletterがあります。これらを読むとお互いの言い分が少しは分かるかもしれません。

Fergal Keaneという人の書いたA Stranger's Eyeという本があります。著者は英国生まれではありますが、アイルランド人で、幼い時代をアイルランドの首都、ダブリンで過ごした。職業はBBCの記者です。この本は彼の英国旅行記ですが、イントロの部分に子供のころに自分が描いていた英国についてのイメージについて「漠然とした敵意を持っていた」として、その理由について次のように記しています。

An undercurrent of hostility towards the British ran through our early education; I learned a lot about British atrocities in Ireland, but a little else about the country that I can remember. (幼少のころの教育には、英国人に対する敵意が底流にあった。自分はアイルランドにおける英国人の残虐行為について多くのことを知った。英国についてはそれ以外のことを学んだことを覚えていない)。

ちなみにこの本の中で彼は英国のことを悪く書いているわけではありません。それどころか、むしろ好意的に書いています。彼は現在、英国に住んでいます。ただこのイントロの部分を読んでいて、ナニやら中国や韓国における反日教育のことを思い出してしまったので、付け足してみました。

  • ご存知かと思いますが、英国の正式な国名はUnited Kingdom of Great Britain and Northern Irelandです。世界にはいろいろな国がありますが、自国の正式な名前の中にandという接続詞が入る国は英国以外にありますか?個人的には、このandというのが付け足し風で極めて「英国的」というか折衷主義的な気がしますね。はっきり言って私、嫌いではない!
  • で、この正式名称の日本語訳ですが、日本の外務省によると「グレート・ブリテン及び北アイルランド連合王国」となっています。外務省のようなところが言うのだから間違いはないと思うのですが、私としてはこの訳が気になって仕方ない。「グレート・ブリテン連合王国及び北アイルランド」というのが正解なのではないかってことです。歴史的には、まずイングランド、スコットランドそしてウェールズという王国(Kingdom)から成るUnited Kingdom of Great Britainというのがあって、アイルランドはあとから追加された。だからこそandなのではないかといいたいわけ。違いますかね!?

 

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D短信

ゴミ処理が趣味の6才

ケンブリッジ近郊のピーターボローという町にゴードン・ブラドレイという6才になる子供がいるのですが、ゴードンの趣味は何故かゴミ収集だそうで、Daily Expressによると、6才の誕生日のプレゼントとして、付近のゴミ処理場の実地体験をさせてもらったのだそうです。その間、嬉々として「同僚」たちとおしゃべりをしながらのゴミ処理作業に従事したとのことで"I want to be a binman when I grow up. I've really enjoyed learning how bins work"とコメントしています。ゴードンは世界のゴミ収集車モデルを15種類も集めているというマニアなのだそうです。

  • 子供というのは妙なものに凝ったりするものですよね。我が家の息子はゴードンと同じような年齢のころに、近所の塀にぶら下がっているヘチマを見るのが趣味でありました。そうなんです、ただ立ち止まってじっと見るだけ。

消灯係に3万ポンド!?

イングランドのStaffordshireのお役所が消灯係なる仕事を作り出し、これに年収3万ポンド(約600万円)も与えることにしたということで問題になっている、とThe Sunが伝えています。「電灯もコンピュターも一晩中つけっぱなしになっている」というクレームが住民からつけられたことがキッカケなのだそうで、議員の間では「わざわざ消灯係などおかなくてもいいのでは」という当然の反対意見があるのですが、お役所では「このままで行くと、3年間で100万ポンドの電気の無駄遣いになる。3万ポンドは価値がある」と主張しているそうです。

  • 確かにアホらしい。アタシ、雇ってくれませんか?

歯がないのに歯ブラシを万引き

ブラジルの新聞O Diaによると、リベイラオ・プレトという町にあるスーパーで最近、歯ブラシを万引きして捕まってしまった男がいるのですが、ちょっとおかしいのは、この泥棒は殆ど歯がない人だったのだとか。店内設置のCCTVに万引き現場が映し出されて御用となったわけですが「歯がないのに、何で万引きなどする気になったのか・・・自分でもよく分からない」とコメントしているそうです。

  • そもそも歯ブラシたった7本なんて・・・盗む価値があるんですか?

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E編集後記

●おととい(だったと思う)BBC World Serviceを見ていたら、ブレア首相が記者会見をやっていました。いわゆる月例会見なのではないかと思います。彼の表情を見ていて「年とったなぁ」と思ってしまった。かなり疲れているように見えた。しかし次から次へと出てくる質問に彼なりに一生懸命答えていました。時間にして30分程度だったか●あの会見を見ながら、日本の小泉首相の「会見」というよりも「立ち話」のことを考えて情けなくなってしまった。殆ど毎晩のようにNHKが流す、あれです。30秒もかからない。先日、あるメディア関係の人から聞いたのですが、テレビに流れるあの「30秒以下」は正味のインタビュー時間なんだそうです。私はてっきり10-15分くらいやっているのを、テレビ局が編集しているのかと思った●言っておきますが、私が「情けなくなった」のは小泉さんに対してではありません。あのようなインタビュー(にもなっていない)を流し続けるテレビ局、それからそのために群がる記者の皆さん・・・私がしみじみ「情けない」と思ったのは、メディアに対してであります。一体いつまで続けるつもりなのでしょうか?●これじゃテレビを見ない・新聞を読まない人々が増えて当り前。人間には選ぶ権利ってものがあるんですから。それから今になって「反小泉」「反郵政民営化」の議員の声ばかり放送・報道している(ように見える)のは何故なのか?メディアの側に余りにも何もなさ過ぎますね。結局声高に威張り散らす者だけが勝つ・・・。

 

 

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letters to musasabi journal